僕がやりたいことはまさにこれだと感じた瞬間、「あ、志ってこういうことなんだ」と分かったんです。そうすると何が起きるかというと、朝起きる時間が変わるんです。

これまで、一生懸命仕事はしているけど目覚ましが鳴って「今日あの会議の後あれやって、これやって。体力持つかな」とか考えると、起きるのが嫌になってもっと寝ていたくなった。だから、まず寝床で犬猫動画とか見て「ああ、かわいいな、かわいいな。さあ癒されたから起きるか」って起きてました。

10分か20分ぐらい見てましたね。それが自分の志が見えてからは、犬猫動画を見なくても5時に起きちゃう。今日が始まるのが楽しみ、という感覚です。51年生きてきて「いや、こんな楽しく生きられるって、もう。早く言ってよ!」みたいな(笑)。

自身の経験から、多くの人に「どうにかなるよ」と伝えたい。

Tシャツの「Free、Flat、Fun」はヤフーアカデミアの理念だ

高校のときから20代までダメな自分だったのが少しずつ変わっていって、いま大事にしている価値観は「人は変われる」ということと「フラットな関係」です。成長したいと思いつつ、もがいている人がいたら「人は変われるよ」と伝えて、エネルギー、必要なスキル、想いを蓄える手伝いをしたい。もしも高校時代の自分にいま会えたら「大丈夫だよ」と言いたい。迷っている時期に相談に乗ってくれる人がいたらよかったというのが、自分の経験からあります。だから、あれこれ教えるのではないけど、寄り添うということは大事にしています。これは究極の自主、自由だった麻布とはちょっと違うところかもしれません。

フラットな関係というのは、上下なく、相手のありのままを受け入れるということです。自分が落ち込んで仕事ができなかったとき、めちゃくちゃに怒られたり馬鹿にされたりという経験がありました。仕事についてはきちんと評価すべきですが、人間性とは関係ないはず。麻布でも、遊んでいる人が勉強している人を「ガリ勉」と馬鹿にすることはないし、成績優秀な人ができない人を馬鹿にすることもない。それぞれの軸をお互い尊重していました。

自分が経験したから「人は相当変われる」と言えるし、人の痛みも、フラットな関係が大事だともわかる。過去という材料、過程があるからこそ今の自分があると思っています。ヤフーアカデミアのウェイ(理念)を「Free、Flat、Fun」という言葉で定義していて、これは自由に学び、偉い人もそうでない人も対等で、楽しい、ということです。考えてみると、これって麻布そのものなんですよね。高校を卒業して30年以上経って、また戻ってきている感じです。当時の先生に「今頃分かったか」とか言われそうで、なんか悔しいですけどね。でも、麻布の経験がなかったら人生変わっていただろうな、と思います。

(ライター 高橋恵里)

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