でも「やってらんねーよ」なんて言っていられるのは学生まで。新卒で興銀に入った後、そのままでは当然、ついていけなくなります。3年ぐらいかけてじわじわと傷んできて、26歳のときにとうとう会社に行けなくなりました。そのときは、たまたまお付き合いのあった取引先の案件があって、周りの助けで何とかやれた。それで運よく立ち直れたんです。ようやく「真面目に生きないといけないんだ」と目覚めました。その後は遅れを取り戻したいという気持ちもあり、求められた内容の120%の結果を出そうとがむしゃらに仕事をしました。

与えられた仕事をひたすらこなす時期を経て、「志」が見えてきた。

文具大手プラスに移り、物流担当になって経験した東日本大震災が大きな転機となった

仕事の実績もできてきて、30代半ばで縁あって(文具大手の)プラスに移りました。銀行で企業の後方支援をやったので、今度は事業そのものをやってみたかったこともあり、まったく経験のない物流を担当します。このとき訳のわからなかった物流の構造を一から学んで、半年くらいかけて自分なりに整理して「見える化」したんです。これが結果的に物流のコスト削減やシステム作りに役立って、評価された。この経験が自信につながったと思います。

自分の経験に基づいて血肉にして、それを人に伝えれば説得力を持つ。どうすれば仕事の結果を出せるかも分かり始め、しかもこの結果というのは対象の人が幸せになることなんだ、という気づきもありました。この後、東日本大震災が起き、毎日決断を迫られるなかで「リーダーシップとは何か」を学ぶ、という経過をたどりました。

26歳の最初の気づきからいくつか段階を経てきたわけですが、自分の人生に本当に目覚めたのは半年前、51歳になってからです。2015年にヤフーに入社して、今はリーダーシップ開発とスタートアップのサポート、プレゼンテーション指導の3つが仕事の軸になっていますが、始めた経緯はそれぞれバラバラです。

リーダーシップ開発は、グロービス(経営大学院)のMBAプログラムでリーダーシップ科目を教えていたらヤフーアカデミアを作るから来てくれと言われ、スタートアップのサポートはプラスで新規事業を担当していろんなところに呼ばれるようになりました。「自分はこれだ!」と言ってやってきたわけではないんですよね。それが半年前、ある人から「羊一さんのやりたいのってこれじゃない?」と言って「ステーションF」というフランスの実業家が出資して作った、世界最大級のインキュベーション施設の写真を見せられたとき、3つの軸がビビっとつながったんです。リーダーシップ開発で自身が目覚め、それをインキュベーションで形にし、プレゼンで伝える。これは一連の流れなんだ、と。

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