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障がい児ケア・妊活支援… 女性看護師が起業で新境地

2019/1/22

放課後デイでは、子供がお菓子を作ったり、みんなで歌ったりして生活能力の向上につなげる。松尾さんらは看護師資格を生かし、たんの吸引やチューブを使い鼻などから栄養を注入することもある。医療行為が必要な子供をケアする放課後デイは全国的に看護師スタッフが足りない。

放課後デイサービスにやってきた子供の口におにぎりを運ぶプラバナースの松尾ふみ社長(熊本市)

プラバナースはもともとは訪問看護が主力事業だったが、16年4月の熊本地震が転機となった。避難所に駆け込んだ松尾さんは、障がいを持つ子が夜通しでおびえる場面に遭遇し「地域で看護師のケアを求めているのはお年寄りだけではないと気づいた」。

その後、福岡市の施設で放課後デイを学び、施設運営の資格を取得。地震から2カ月後、市の認可を受け放課後デイを開設した。松尾さんは熊本大学医学部付属病院で病棟勤務し数多くのみとりを経験。それを踏まえて「成長していく人のケアも同様に大事。もっと磨きたい」と思う。

■助産師資格生かし「妊活」支援

女性を積極登用する企業に社員の健康管理や産休・育休前研修を行うラヴィコーポレーション(大阪市)。社長の高須賀千絵さん(36)も大阪の総合病院勤務で末期患者を看護し続けた経験を持つ。

母体内の胎児の様子を再現した人形を手に取るラヴィコーポレーションの高須賀千絵社長(左)(大阪市)

高須賀さんは助産師の資格を保有。病院で多くの出産に立ち会い、「母親が大量出血したり、胎児の心音が落ちたりと何があるか分からない。妊娠前に出産に向けたベストの体づくりを女性に伝える必要がある」と痛感し、11年に起業した。いわゆる「妊活」である。妊娠を意識する前から体の仕組みや病院の選び方などを教える場はまだ少ないという。

1歳7カ月の長男がいる高須賀さんは今、小さな命を宿している。長男の育児に懸命で妻の体調も気遣う夫に感謝しながら「出産後は男性育休の研修に力を入れたい」と話す。例えば育休取得の時期。男性は一般に妻の出産後に取得するが「産後うつになりやすい2カ月目に休んで妻に寄り添うのも有効」という。

こうして得たノウハウを企業だけでなく、地域社会全体に発信していきたいという。起業したことで、自分が望むスタイルによって社会を良くするかもしれない。高須賀さんはそう信じている。

■広がる活躍の選択肢 ~取材を終えて~

記者(55)は7年前、開腹手術をして入院した。痛さで眠れない中、深夜1時間おきに様子を見に来る看護師に元気づけられたが、その間もナースコールは鳴りやまない。看護師の苦労を思った。

そんな看護師が「白衣の天使」と呼ばれることもあった。だが、松尾さんと高須賀さんは病院勤務時代は忙しすぎて、患者に対して納得のいく看護ができなかった。まずは病院など医療現場で看護師が働き続けやすい環境づくりが急務となるが、起業は活躍の場を広げる上で選択肢の一つとなる。

今後は医療の場が在宅にも広がり、地域で看護師の活躍が求められる。理想を求め起業した女性たちに新たな看護師像を築いてほしい。(保田井建)

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