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インフルエンザ薬、ゾフルーザ処方前に知るべき注意点

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NIKKEI STYLE

インフルエンザの流行が拡大しています。国立感染症研究所感染症疫学センターが2019年1月18日に発表したデータによると、全国42都道府県で警報レベルを超え、本格的な流行期に入りました。インフルエンザは毎シーズン1000万人以上、日本人のほぼ10人に1人が症状を訴えて医療機関を受診する大規模な流行性疾患です。ちょうど受験シーズンに流行のピークが重なるため、受験生がいる家庭では、はらはらしながら過ごしているのではないでしょうか。

インフルエンザの予防法としては、ワクチン接種のほか、手洗い、十分な休養、人混みに出ない、適切な湿度を維持するなどの対策が勧められています。しかし、どの対策も百パーセントかからない保証はありません。万一かかってしまった場合、少しでも早く症状を改善するため、有効とされるのがインフルエンザ治療薬です。

もともと健康な人がインフルエンザにかかった場合、通常5日から7日程度で自然に治ります。インフルエンザ治療薬は、発病してから48時間以内に使えば、症状が出ている期間を1日程度、短縮する効果があります。つまりつらい期間を平均で1~2割短くしてくれる薬だと考えればよいでしょう。なお、ぜんそくや腎臓病患者、高齢者など、インフルエンザにかかると重症になりやすい人などは、積極的に使うべきとされています。

現在、病院や診療所で処方してくれる主なインフルエンザ治療薬を表に示します。飲み薬が2種類と吸入薬2種類、点滴薬1種類があります。この中で、新聞やテレビなどでたびたび紹介され、注目を集めているのが、昨年3月に登場した「ゾフルーザ」です。

ゾフルーザの第1の特徴は、患者にとって使い勝手がよいことです。タミフルでは1回の治療で1日2回、5日間の計10回薬を飲む必要がありますが、ゾフルーザは体重80キログラム未満の大人ならカプセル2錠(80キログラム以上の人は同4錠)を1回飲むだけで済みます。

もう1つの注目すべき特徴は、ウイルスの排出がいち早く止まることです。実際にインフルエンザにかかった人に、ゾフルーザ、タミフル、プラセボ(本来は薬効のない偽薬)を飲ませて比較した研究(臨床試験)を行った結果、プラセボを飲んだ群では、ウイルスの排出が止まるまでの時間が4日(96時間)だったのに対し、ゾフルーザを飲んだ群ではわずか1日(24時間)と大幅に早まっていました。タミフルを飲んだグループは72時間で、ゾフルーザ群と明らかな差がつきました。

ゾフルーザは周囲への感染を減らす可能性も

ゾフルーザは、表に示したタミフル、イナビル、リレンザ、ラピアクタとは違うメカニズムでインフルエンザウイルスに働きます。

インフルエンザウイルスに感染すると、呼吸器の細胞の中で増殖し、細胞から飛び出して別の細胞へと広がっていくのですが、タミフルなど、ゾフルーザ以外の薬は、増殖したインフルエンザウイルスが細胞から飛び出すのを妨げることで、病気の進行をくい止めます。一方、ゾフルーザは、細胞の中でウイルスが増殖する仕組みを遮断し、増殖そのものを抑える働きがあります。

なお、前述した臨床試験で症状がなくなるまでの期間、すなわち治療効果については、ゾフルーザ群はプラセボ群よりも26.5時間と約1日短く、タミフル群とは差が見られませんでした。

ウイルス排出がいち早く止まるというゾフルーザの特徴について国立病院機構東京病院臨床研究部長の永井英明氏は、「十分なデータが集まらなければ確証が持てないが、周囲の人への感染を減らす可能性がある」と推察しています。

学校保健安全法の施行規則では、インフルエンザにかかった子どもの出席停止期間を「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)としていますが、今後、十分なデータが集まれば、ゾフルーザを使った場合には出席停止期間を短縮できるようになるかもしれません。

ゾフルーザは「耐性」に問題点も指摘 薬価も高い

ゾフルーザについては問題点も指摘されています。臨床試験でゾフルーザを飲んだグループから、ゾフルーザの効き目が低下した「耐性ウイルス」が見つかったことです。大人と12歳以上の子どもを対象とした臨床試験では9.7%、12歳未満の子どもを対象とした試験では、23.4%に見つかりました。また、自然な流行でもゾフルーザ耐性ウイルスが発見されています。感染症疫学センターが1月21日に発表した調査結果などによると、昨年12月初めに集団感染があった横浜の小学校で、ゾフルーザを服用した低学年の児童2人から、耐性ウイルス(H3N2型)が検出されました。

効き目の低下はあまり大きいものではありませんが、今後、耐性を持ったウイルスが増えたり、耐性が強まったりすれば大きな問題です。

また、薬の値段(薬価)には大きな差があります。タミフルは1回治療分(1日2回×5日分)で2720円ですが、ゾフルーザは4789円です。昨年発売されたタミフルのジェネリック品なら1360円ですから、3割負担の保険診療でも1000円ほどの差がつきます。

こうしたことから、一部の医師や医療機関には、今シーズンはゾフルーザを使わないと宣言したところもあります。

一方で、治療期間中1回の服用だけで済むことや、ウイルス排出停止が早いことなどを評価し、処方に踏み切っている医療機関もあります。

インフルエンザにかかってしまったら、受験など、自分や家族の状況と症状のつらさなどを医師によく相談し、使わないという選択肢も含め、最適なインフルエンザ治療を受けられるようにしましょう。

せきエチケットの徹底で感染拡大を減らす努力を

インフルエンザのように感染性が強い病気では、かからないための予防、かかってしまったときの治療とともに、かかったかもしれないときに他人にうつさない対策も必要です。新型インフルエンザが流行したときには多くの人が守っていたせきエチケットがすっかり影を潜めてしまいました。

永井氏は、「かぜのごく軽い症状が見られるだけの人にインフルエンザの検査を行うと、インフルエンザに感染している人がしばしば見つかる。典型的な症状があれば、一般の人でも分かるが、症状が軽ければ受診もしないし、せきエチケットなどもおろそかになる」と警戒を呼びかけています。

せきエチケットは、(1)せきなどの症状が続くときはマスクをする(2)マスクをしていないときの急なせきやくしゃみは、手のひらではなく袖で受けるというマナーを徹底すること。インフルエンザの流行時期には、症状が軽くても他人に感染させる可能性があることを心に留めておいてください。

また、インフルエンザのピークシーズンには、健康な人も手洗いの徹底やマスクの装着など、できることはなんでもした方がよさそうです。マスクはウイルスが呼吸器に入り込むのを防ぐ機能は限られていますが、呼吸する空気の湿度を高めたり、無意識に口や鼻に手が触れてウイルスがつくのを防ぐ効果もあります。暖かくなるまで、人混みでは装着するようにしてはいかがでしょうか。

中沢真也
東京大学大学院医学系研究科修士課程修了。日経BP社入社後、PC系編集部を経て2000年から同社医療局勤務。日経メディカルオンラインの前身に当たるMedWave編集長など。2018年8月からはフリーランスのライター/エディターとして活動中。同時に慶應義塾大学SFC研究所上席所員として、医学・健康関連のコミュニケーションについて研究・コンサルティング活動を進めている。

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