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世界が一酸化二水素を禁止したら… 物理・化学の迷信

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

興味はあるが、「物理や化学は縁遠い世界」という人は多いかもしれない。一見もっともらしい用語で説明されると、わからないまま信じてしまうこともあるだろう。ナショナル ジオグラフィックの別冊『科学の迷信 世界を惑わせた思い込みの真相』から物理と化学に関する迷信を紹介する。

一酸化二水素は危険?

1980年代初頭。ミシガン州デュランドに拠点を置く「デュランド・エクスプレス」紙は、都市の水道に化学物質「一酸化二水素(DHMO)」が入っていると報じた。その物質は「皮膚に激しい水ぶくれを引き起こす蒸気」を生成するという。カリフォルニア大学の学生たちはこれに便乗し、「一酸化二水素禁止連合」を創設。さらに、この運動に刺激を受けたアイダホ州の中学生ネイサン・ゾナーが、DHMO禁止を求める請願書を高校の新入生たちに回覧した。

研究者は、DHMOをがん性腫瘍や酸性雨の中で検知したという。DHMOは温室効果や熱帯低気圧、土壌侵食を引き起こす。だが、既得権益を持つ人たちがDHMOの規制を妨げてきた。工業溶剤として使われるDHMOなしには、動物実験や原子力発電は不可能だからだ。この観点から、議会が行動を起こしたがらないのも驚くことではない。その結果、人々が知らないうちに一酸化二水素を摂取している──。噂の全容はこのようなものだ。

だが、よく考えてみてほしい。一酸化二水素とは「H2O」、すなわち「水」のことだ。デュランド・エクスプレスが「一酸化二水素」の記事を報じたのは1983年4月1日、エープリルフールのウソだったのだ。

このウソは、チェーンメールで広がり、科学教室でも話題になり、ときに無知な議員を引っかけ、何も知らない市民団体をぎょっとさせた。2004年には、ある弁護士補佐官がカリフォルニア州の都市アリソ・ビエホの市職員に対して、DHMOがポリスチレン製のカップの主要成分なので禁止するよう、説得しかけたことさえあった。

塩を入れると早く沸騰する?

料理をするとき、鍋に入れた水を沸騰させることはよくあるだろう。そこでおばあちゃんの知恵袋のように語られるのが、「塩をひとつまみ入れると早く沸騰する」という豆知識。しかし、家庭で信じられていたこの説は、実は逆効果なのだ。

そもそも沸騰とは、液体から気体への変化が、温度の上昇により内部からも激しく起こる現象である。水を火にかけると、水の分子が衝突してエネルギーを互いにやり取りし、水粒子が蒸発して表面から脱出する。水の温度が上がるにつれて分子の衝突は次第に激しくなり、やがて水は液体の状態を保てなくなって蒸発が始まる。この現象が起きる温度が「沸点」だ。実は、塩は水の沸点を下げるどころか、逆にわずかに上昇させる。

液体によって沸点は異なり、水の沸点は100℃。1ガロン(3.7リットル)の水にティースプーン4杯の塩を加えると、沸点は100.4℃に上昇する。つまり、ほんのわずかな違いではあるが、100℃まで熱すればいいはずの水を、塩を加えることによって0.4℃余計に熱しなければいけなくなるのだ。

だからといって、私たちは塩を加える習慣をやめる必要はない。塩ゆでした野菜はより色鮮やかになり、塩気のあるパスタはよりおいしくなるからだ。

磁極が一つしかない星がある?

1931年、理論物理学者ポール・ディラックが、磁極が一つしかない孤立した磁石(南極のない北極またはその逆)が存在する可能性を初めて指摘した。その後、物理学者たちは、そうしたいわゆる「モノポール」が自然発生した実例がないか調査した。

1982年、カリフォルニア州スタンフォード大学の研究者は、研究室で単独実験中にモノポールを検出したと発表した。だが、誰もその発見を再現できなかった。月の岩石や古代の鉱物など、自然界に存在する物質についてのすべての実験からは、そのようなものはまだ見つかっていない。

棒磁石を半分に分割すると、論理的にはそれぞれ一つずつの極を持つように思える。しかし実際には、分割した棒磁石はそれぞれ北と南の極を持っている。棒磁石を一つの原子になるまで細かく分割しても、その原子にもN極とN極がある。原子の中で、陽子と電子は正と負の電荷を持っているからだ。

同じことが地球規模でもいえる。地球の磁場がどこに起因するのか正確にはわかっていないが、地球の中心にある回転する液体コアから発生していると考えてほぼ間違いない。この磁場は太陽から届く有害な放射線から私たちを守っている。ナビゲーションにも役立つ。どの方向にコンパスを向けても、小さな磁性針がそれぞれの極に向かって回転する。

これら南北の極は静止しているわけではない。地球の外核にある溶融金属が旋回するのに伴い、年々動いている。そして、10万年ごとに地球の磁場は反転し、北と南が入れ替わる。しかし、それは遠い先の話だ。地球が近いうちに磁極を失うような事態にはならないことだけは、断言できるだろう。

[書籍『科学の迷信 世界をまどわせた思い込みの真相』を再構成]

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