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東証の市場再編 投資は冷静に企業評価を(苦瓜達郎) 大和住銀投信投資顧問シニア・ファンドマネージャー

2019/1/22

多くの日本企業にとって、株式市場は資金調達の場というより社会的評価を受ける場という側面が強いだけに、市場そのものへの不信感を醸成することにもなりかねないのです。私は「問題意識は理解できるものの、あつれきを起こしてまでやるほどのことではない」と考えます。

■プレミアム感のある新たな市場開設も

もし、プレミアム感のある市場が必要というのなら、東証1部の中、もしくはその上に新たな区分を開設するのが得策ではないかと思います。例えば、かつての指定銘柄制度の復活とかはどうでしょう。指定銘柄とは市場をリードする代表的な銘柄のことで、信用取引などの際に投資家はいくつかの優遇措置を受けることができました。それによって取引を活性化していたのです。私が社会人としてこの業界に入った直後まで、指定銘柄に選ばれた主要企業の株価は新聞の株価欄に枠入りで表示されていました。

指定銘柄が廃止になった後、プレミアム枠として「TOPIX Core30」などがつくられましたが、投資家の間での浸透度はいまひとつなように感じます。社会的な意味を持つためには、誰にでも見られる場所で特別扱いされることが必要ではないでしょうか。

■冷静かつ公平な視点で企業の質を評価

いずれにしろ、私が東証に求めるのは目先の問題意識に引きずられて余計なことをやるのではなく、どっしりと安定感のある制度運営を行うことです。一方、投資家としては制度にとらわれず、個々の企業をきちんと見ていく姿勢が大切です。

東証1部であっても企業価値の向上がおろそかになっているケースは多く存在します。個人投資家の皆さんは東証1部という区分に過剰な意味合いを見いだすことなく、冷静かつ公平な視点で企業の質を評価してほしいと思います。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムで、原則火曜日掲載です。
苦瓜達郎
大和住銀投信投資顧問シニア・ファンドマネージャー。1968年生まれ。東京大学経済学部卒業後、91年大和総研入社。アナリストとして窯業やサービス業の担当を経て中小型株を担当。2002年大和住銀投信投資顧問入社。中小型株ファンドの運用に携わる。

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