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東証の市場再編 投資は冷静に企業評価を(苦瓜達郎) 大和住銀投信投資顧問シニア・ファンドマネージャー

2019/1/22

東京証券取引所は市場区分の見直しを進めている
「個人投資家は東証1部という市場区分に過剰な意味合いを見いだすことなく、冷静かつ公平な視点で企業の質を評価してほしい」

東京証券取引所が市場区分の見直しを進めています。報道によると、東証には第1部市場に関してプレミアム感が失われているという問題意識があり、時価総額基準などの引き上げにより企業数を絞り込むことが検討されているようです。

現在、東証には一般投資家向けの市場として第1部、第2部、マザーズ、ジャスダックと4つの市場があります。課題として浮上しているのは東証1部とマザーズなど新興市場の再編です。

■東証1部のステータスは低下している

私も東証1部のステータスは低下していると考えていました。それを最初に感じたのは約20年前のことです。東証1部上場のハードルが低くなり、その頃から東証2部から1部への指定替えが目立って増加しました。

ある日、時価総額100億円前後の2部上場の担当企業が1部への指定替えを発表し、非常に驚いた記憶があります。それ以前はそんな低い時価総額では指定替えできなかったからです。現在は東証2部から1部への指定替えは40億円で可能ですから、さらにハードルは下がったといえるでしょう。

マザーズに関しても、旧ヘラクレスやかつてのジャスダックとの市場間競合において、「東証1部への上がりやすさ」をセールスポイントにしてきた面があり、短期での1部指定替えが常態化しました。東証1部上場企業はすでに2100社を超え、2部とマザーズ、ジャスダック上場企業の合計(約1500社)より多くなっています。

確かに弊害はあるでしょう。例えば、1部指定は新興企業の中長期目標としてもよく採用されますが、それが簡単に達成されてしまうことは、結果として企業の成長目標を引き下げる効果も若干あるように感じます。

■称号を奪えば大きなあつれきを生む

しかし、東証1部という称号は、世間一般では依然として強い影響力を有しています(我々機関投資家から見ると、不思議なほどですが)。東証としては自らも協力して付与してきた称号を、自分たちの都合で奪ってしまうのはあまりいいこととは思えません。

「未公開から新興市場に上場を果たしたときより、東証1部に指定替えされたときの方が周囲の変化が大きかった」という感想はこれまで何度も耳にしてきました。制度変更によってそれを剥奪することは極めて大きなあつれきを生むことが予想されます。

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