雑誌レタスクラブ躍進 「よそ者」編集長の共感力KADOKAWA レタスクラブ編集長 松田紀子氏(上)

松田紀子 KADOKAWA「レタスクラブ」編集長
松田紀子 KADOKAWA「レタスクラブ」編集長

出版不況の中、異例の「復活」を遂げている雑誌がある。出版大手KADOKAWAが発行する生活情報誌「レタスクラブ」だ。1987年の創刊以来、主婦を中心に高い支持を集めてきたが、近年は部数低迷に苦しんでいた。それがここ2年でコンセプトをガラリと変え、快進撃に転じている。その立役者となったのが、現編集長の松田紀子氏だ。

それって、悩み抜く必要ある?

「毎日がうまくまわる『ラク習慣』」「頑張らない7割片付け」「2つの食材で作るほぼ8分おかず」――。松田氏が就任以来、同誌の表紙を飾った特集の数々だ。

「人生の深いことについては、考え抜いたり、悩み抜いたりする局面もあるでしょう。でも、夕飯の献立をどうするかで、頑張り過ぎる必要ってありますか」

料理や家事をもっと効率的に、楽しく。同誌の読者へ向けて投げ掛けるには、挑戦的なメッセージだった。

同誌は、料理を中心に掃除や整理整頓、健康・美容などの生活情報を幅広く提供してきた。とりわけコンテンツの中心を占める料理レシピには定評があり、一つの食材にさまざまな調理法でアプローチするなど「本格派」の内容。夫や子どものために、栄養バランスが取れて見栄えも味も良い、「手を抜かない」食事を振る舞いたい――。食に関心が高く「真面目で一生懸命」(松田氏)な主婦層のニーズに応える誌面作りが好評を得た。しかし、ここ数年は最盛期の5分の1近くまで部数を落とし、厳しい戦いを強いられていた。

大きくかじを切ったのは2017年3月。「考えない、悩まない、落ち込まない。生活はもっとラクできる!」。隔週だった刊行を月1回に落としたタイミングで、新しいコンセプトを打ち出した。すると、いきなり3号連続で「完売」を達成。17年下期には実売部数を前年同期比の約1.4倍に増やし、現在も好調をキープしている。

雑誌の刊行ペースが落ちることは、一般的にポジティブなイメージを持たれない。「やがては休刊するのでは」。そんな視線をはねのけることができた原動力は、16年6月の編集長就任以降、松田氏が徹底した「読者目線」の誌面作りだ。それも、読者自身が気づかなかったニーズを掘り起こすレベルの。

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