自由な麻布、考えた自分の軸 ヤフーアカデミア学長伊藤羊一・ヤフーアカデミア学長が語る(上)

翌日、「何で分かったんですか」と聞いたら、タクシーの運転手に「ガキどもの行くような場所に連れていってくれ」と頼み、「ここしかない」というところで張ってたらしい。「刑事かよ!」と思いましたね(笑)。普段は放置でしたが、見守ってた感じなのかもしれません。三蔵法師みたいなものなんでしょうね。

自分自身の失敗でいうと、授業中、間違えて歌うたっちゃったときがあるんですよ。ぼーっとしていて、頭の中でなんか急に歌いたくなったんですね。そのときは「お前何なんだ。授業邪魔すんのか」って、めちゃめちゃ怒られました。ちゃんと聞いている生徒もいて、うるさくすると怒ってました。

「麻布時代は軸みたいなものはできずじまいだった」と振り返る

結局、サボるのも真面目に聞くのも自己の選択で、自分の軸を持って決めることが求められていたと思います。だから「俺はこれがしたい」「これが好きだ」ということを明確に持たないといけない。例えば「戦史研究会」というのを立ち上げて、戦争のシミュレーションゲームなんかをやっているグループがいました。日常的に軍服みたいな格好で来る人もいる。普通でみたらちょっとおかしいかもしれないですが、周りはみんな面白がっていました。逆に自分の軸がないと、仲間外れにされるわけではないですが、生きづらい。誰も興味を持ってくれないですから。

自分自身は今にして軸が明確になってきましたが、中高時代はあまりなく、みんなにくっついていく感じでした。生きることについてなど深く考える生徒が多いのですけど、僕は考えても答えがなかった。結果、軸みたいなものも全然できずじまいでした。

改めて自分の軸と向き合うことになったのは二十数年後。東京大学経済学部を卒業して日本興業銀行に入った後、文具大手のプラスに転じて物流を担当していたときのことだ。

きっかけになったのが、2011年3月11日の東日本大震災です。2003年にプラスに移って物流のコスト削減やシステム作りなどをやってきましたが、震災で突然、物流がぐちゃぐちゃになってしまいました。それを1~2週間で復活させたのですが、これは同業の中ではかなり早かったと思います。

会社が運んでいるのは文具だけでなく、水や電池、ゴム長靴、消毒液、台車、段ボールなど、そのまま復旧に役に立つものが多い。それに、個別に注文が必要なネット通販と違って、現地の販売店が必要そうなものを自分で判断し、どんどん注文してくれるんです。

そのときに「リーダーシップとは意思決定することだ」と初めて実感しました。

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