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定額制のビジネスモデル 米専門家が膨大な事例で解説 『サブスクリプション』

2019/1/24

つい最近のことだが、定額制の動画配信サービスに加入した。月額の料金を払えば、海外ドラマやアニメなどが見放題なので、親子ともども毎日楽しんでいる。

こうした定額課金のサービスは、「サブスクリプション」とも呼ばれる。本書『サブスクリプション』(桑野順一郎監訳、御立英史訳)では、そのビジネスモデルがどのようなもので、いかに機能しているかを、膨大な事例を挙げながら解説。著者のティエン・ツォ氏は、サブスクリプションへのビジネスモデル変革と収益向上を支援するズオラの創業者兼最高経営責任者(CEO)。ゲイブ・ワイザート氏はズオラが発行する「Subscribed(サブスクライブド)」誌の編集長だ。

さて、サブスクリプションと聞いて、具体的にどんなサービスが思い浮かぶだろうか。

まず挙がるのは、動画配信のネットフリックス、音楽配信のアップルミュージックといったエンタメ分野のサービスだろう。本書ではその他に、まだ日本では知られていないユニークなサブスクリプションも紹介されている。

■米国では飛行機乗り放題も

例えば米国の2つの州で事業展開する「サーフエア」。「航空業界のネットフリックス」とも呼ばれるサーフエアは、驚くなかれ「飛行機乗り放題」のサブスクリプションなのだ。数年前に始められたサービスだが、メンバーになると定額の月額料金で無制限に州内の小型機によるフライトに搭乗できる。現状、通勤や出張でかなりひんぱんに飛行機を利用する人向けではあるが、今後他の航空会社でも応用されそうなビジネスモデルだ。

本書によると、サブスクリプションの特徴は、定額課金だけではない。いくつかある特徴のなかでもっとも注目すべきは「顧客ファースト」の徹底だ。

前述のサーフエアは、既存の航空会社に感じている不便や不満の解消などの顧客ニーズを丹念に拾い上げて始められた。例えば急に出張が決まったときなどに、高い航空料金を請求されることはよくあるが、定額ならばその心配はない。しかも電話1本ですぐに予約でき、搭乗手続きも効率化されている。

■成否を決める「顧客ファースト」

実は顧客ファーストはサブスクリプションにとって必要不可欠だ。顧客を第一に考え、そのニーズを満たすようサービス価値を常に高めていかなければ、いとも簡単に解約されてしまうからだ。利用者に継続して定額料金を払ってもらえなければ、このビジネスモデルは成立しない。

おそらく、サブスクリプションに慣れた顧客は、既存のビジネスにも同レベルの顧客ファーストを求めてくるのではないだろうか。それに対応するためにも、本書でサブスクリプションを研究しておく価値は大いにありそうだ。

今回の評者=足達健
情報工場エディター。外資系のクラウドソフトウェア企業でITコンサルティングサービスに携わる傍ら、書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」エディターとして活躍。一橋大学社会学部卒。

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

著者 : ティエン・ツォ, ゲイブ・ワイザート
出版 : ダイヤモンド社
価格 : 1,944円 (税込み)

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