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これぞ折り紙付き 精巧すぎるハサミムシの翅の格納術

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/1/25

ナショナルジオグラフィック日本版

ハサミムシを知っているだろうか? 英語で「イヤーウィッグ(耳の虫)」というように、英語圏では「居場所を求めて人の耳の中に入る」と言われる。しかし、それは俗説だ。むしろ注目したいのは、その翅(はね)だ。揺らめくように光り輝き美しい。しかも、翅は格納時の10倍かそれ以上の大きさにまで広がるのだ。実際に映像で見てほしい。

米パデュー大学で機械工学の助教を務めるアンドレス・アリエタ氏らの研究チームが、18年、ハサミムシの翅の機能についての論文を学術誌「サイエンス」に発表した。研究チームは伝統的な折り紙の畳み方を使い、翅を展開する仕組みのモデルを作成しようとしたが、うまくいかなかった。ハサミムシの翅は、紙などの典型的な素材のように、直線的な折り方では畳まれていないのだ。

アリエタ氏らのチームが見出したのは、むしろ折り目にばねのような働きがあるために、翅が閉じても開いても、その形がしっかりと保たれていることだった。アリエタ氏はこれを、手首に巻きつけても板状に伸ばしても、その形がしっかり保たれるスラップブレスレットに例える。

ドイツ、デュースブルク・エッセン大学の研究者で、このテーマの論文を発表したことがあるユリア・ダイタース氏は、折り目が直線ではなく曲がっていることも、翅が安定する理由だと話す。こうした構造によってうまく力が調整され、翅が完全に開いているか閉じているかした場合に「ロックがかかる」ことが可能になるのだという。

ダイタース氏は、ハサミムシの翅を初めて目にしたとき、これを研究しなければと強く思ったと話す。「見事な翅ですからね」

ハサミムシの翅はほとんどの種でよく似ているが、そう頻繁に翅を使わない。ハサミムシが飛ぶ真の目的、そして飛行を促す条件はまだ謎のままだ。

アリエタ氏らは、翅のメカニズムに関する今回の知見を使い、それをまねた道具を作り出せると期待している。「ハサミムシの翅は、同じような器具を作るためのレシピを与えてくれました」とアリエタ氏は話す。そうした器具ができれば非常に価値のあるツールとなり、素早く組み立てられるテント、持ち運び可能なソーラーパネル、小型の電子機器などに応用できるかもしれない。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年10月22日付記事を再構成]

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