コンパクトで防災にも役立つ アウトドアヒーター3選
冬場のキャンプは寒さとの戦い。重くかさばるストーブは運ぶのも一苦労だ。そこで使われるのがコンパクトなヒーター。ソロキャンプや釣りなどならこれで十分。災害用に備えておくのにも使いやすい。今回は、キャンプでも、災害でも使えるコンパクトなヒーターを3点紹介する。
アウトドアで重宝する軽量ヒーター
コールマン「クイックヒーター」(6853円、税込み)は、キャンプ用のガス缶(OD缶)を使用するアウトドアヒーター。最も大きい470g缶を使用すると、8.5時間の連続使用が可能だ。コールマンのガスカートリッジは、230gと470gの2種類があるので、使用時間に合わせて使い分けたり、コンロやランタン用のガスと共有できたりするなど、ガス缶の準備や備えの面でも汎用性が高い。本体重量が400gと軽量であり、リュックなどに入れて持ち運びやすい。
1人用のヒーターとしては十分な暖かさと言える。釣りなどの屋外での作業のお供や、テントの前室で使用する、タープやツェルトで作ったシェルターを暖める、といった寒い季節の暖房として重宝する。
注意点は、屋内での使用は考えられていないこと。空気の籠もった場所で長時間使用する際は、換気が十分に行えることを確認して使いたい。テントの前室やシェルターは、ジッパーで閉鎖できる居住区とは違い、屋根だけがある土間のようなスペース。ここで使うのは問題ないが、強い風で器具が転倒するなどで、おもわぬ火事や不完全燃焼による一酸化炭素中毒の恐れもあるので、火をつけっぱなしで離れたり就寝したりするのは危険だ。また、470g缶を使用する場合、ガスの残りが少なくなった際に、重心が上がって転倒しやすくなる。安定性を増すためにガスカートリッジスタンドを装着するのがオススメだ。
今でも定番、24時間使えるハクキンカイロ
1923年に創業したハクキンカイロは、発売以後90年以上にわたって暖かさを提供し続けてきた。第2次世界大戦においては、防寒用としてだけでなく、兵器や医薬品の凍結防止用としても陸海軍に納められたほか、南極観測隊でも使用されるなどその性能は折り紙付きだ。
ハクキンカイロは、ベンジンをプラチナ触媒でゆっくり燃焼させることで発熱する。「ハクキンカイロ STANDARD」(3500円、税抜き)専用カップ1杯で12時間、2杯で24時間の保温が可能。使い捨てカイロの13倍ともいわれる発熱量で、冬季の作業から就寝時の保温まで、幅広く使える。災害時には繰り返し使える点も重宝されることだろう。
なお、炎は出ないので火事などの心配は少ないが、二酸化炭素が発生するので、テント内など狭い空間での使用の際は換気に気をつけたい。
燃料としては専用ベンジン以外に、ジッポオイル、ホワイトガソリンも使える。ただ、専用ベンジンの方がジッポオイルよりも割安で着火が容易、ホワイトガソリンよりもカイロ用燃料としての品質が適している(ホワイトガソリンは臭いが強く、持続時間が短くなる傾向がある)。基本は専用ベンジンで使用し、外出先で燃料が切れた際や災害時などで備蓄が切れた際に他の燃料を使用するのがよいだろう。
よりハイパワーで長時間持続するビッグサイズやコンパクトなミニサイズ、腰に固定して温めるハクキンベルトなどのオプションもあり、直販サイトで販売されている。
室内利用も可能なガスストーブ
アウトドア用のヒーターの多くが屋内使用を禁止している中で、室内利用ができる数少ないモデルが岩谷産業の「カセットガスストーブ ポータブルタイプ "マイ暖"」(1万8600 円、税抜き)だ。同社のラインアップには、ファンを装備したカセットガスファンヒーターや、より大型のモデルもあるが、いざという時に使用するだけだったり、キッチンなどエアコンのない部屋で一時的に使用したりするには、コンパクトなモデルの方が収納や運搬面でも優位と言える。重量も2.6kgと室内や離れなど近い距離を移動するには十分に軽量だ。
最大発熱量は1.0kW(900kcal/h)で、およそ3時間20分燃焼する。標準と弱運転の2モードあり、弱にした場合には約3時間55分燃焼する。使用する場所の広さの目安としては木造住宅で3畳、マンションなどのコンクリート集合住宅で4畳程度だが、非常時に家族が集まって過ごすひと部屋を暖める用途には足りるのではないだろうか。
不完全燃焼防止装置、立ち消え安全装置、転倒時消火装置、圧力感知安全装置の4つの安全装置が備わっており、使用頻度の少ない機器でうっかりやってしまいがちな、換気が不十分、ひっかけて転倒させてしまうなど万一の場合でも安全装置が働くので、安心して使用できるのは心強い。
(ライター 戸津弘貴)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界