東大より学費10倍の米MITへ 学生、奨学金集め苦闘

現在、日本の高校からMITや米ハーバード大などに進学するケースは、それぞれ1年に数人程度。「合格した人には学費補助が出るという奨学金があれば、高校生もストレスが減るのではないか」と前田さんは指摘する。

母国に戻ることが条件では将来の研究活動に不安

米マサチューセッツ工科大学には世界中から優秀な才能が集う

米大学を卒業した後の進路は、帰国して日本で就職するか、副島さんや前田さんのように米国に残って大学院生となるかのほぼ2通りに分かれる。末岡さんは「学部4年間だけでなく、大学院を含めた長期間の奨学金システムが設計されるのが望ましい」と提言する。末岡さんが孫正義育英財団に申し込んだ理由の一つは「5年間と長い奨学金期間だったのが魅力的だった」からだという。副島さんも第2期生に選ばれた。

学生の立場からすれば、留学費用を全額支出してくれる公的制度が一番ありがたい。実際にタイからMITへの留学生は、国が費用を全額支出しているケースがあるという。ただ、卒業後はタイへ帰国するのが条件だ。たしかに、税金を使って若い頭脳を育てても、結果として先進諸国で活用されるなら、その国の納税者は納得しないだろう。

ただ、末岡さんは「研究者になるには、米国など国外で研究開発に携わり続ける意義は大きいと思う」と主張する。最先端の開発分野は、研究者同士のタテ・ヨコの人脈を通じた「コネクション勝負の面が無視できない」。米国で成功しているラボ(研究室)でのノウハウの蓄積や、世界でどういう研究が行われているかの情報が真っ先に入ってくるといった立ち位置が、次の研究ステージを決めることが多いからだ。

世界経済フォーラム(WEF)が18年10月に発表した世界競争力ランキングで日本は5位と前年から順位を上げたが、イノベーション力は6位。日本では国内イノベーション力を向上させるための大学改革の試みが、国立大学などを中心に進められている。一方優秀な才能を、公的資金を用いながら海外で育てる発想も必要になってきているようだ。

(松本治人)

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