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米マサチューセッツ工科大学に留学した前田智大さん(左)と副島智大さん

米マサチューセッツ工科大学に留学した前田智大さん(左)と副島智大さん

授業料は東大の10倍、それでも米国の理系トップ大学、マサチューセッツ工科大(MIT)に進学する日本の若者が増えている。ノーベル賞を受賞した先達らのように、生涯かけて世界最先端の研究に携わり続けることが、彼ら彼女らの目標だ。ただ、ネックになるのが生活費も含め年間700万~800万円ともされる費用。MITに限らず、世界のトップ大学で学ぶ意欲的な日本人学生への資金サポートが課題として浮かび上がってきた。

ニューヨークの女性篤志家に頼る構図

2018年9月からMITの大学院でコンピューターによる高度な撮像技術(コンピューテーショナル・イメージング)を研究している前田智大さん(22)は、同大の学部から、米大手IT(情報技術)企業の研究員など社会人志望組らに競り勝って進学を果たした。灘校出身で在学中に国際生物学オリンピックに出場した。東大とMITに合格し、MITを選んだが、問題は留学資金。実家は自営業だが、4年間で3000万円を超える学費を負担してもらうことは到底できなかった。

MITには、学生の家庭の所得に連動して返還不要の奨学金を供与する「ニードベースト」と呼ぶ制度がある。前田さんはこれを活用しようとした。合格発表の直後、MITから奨学金が提示された。「しかし自分の場合、まだ不足していて米国に行けない金額だった」と話す。

ここから粘り強い金額交渉が始まった。実家の経済状況の詳細と大学の費用が払えないことの説明を繰り返した。MITの事務局とはメールで十数回やり合ったという。最後に奨学金の倍増を勝ち取った。さらに、米ニューヨークに住む美術収集家のミヨコ・デイヴィーさんからの支援も受けることができた。卒業後の返還義務のない奨学金だ。デイヴィーさんは在米生活約40年の日本の女性で、留学生の間では「知る人ぞ知る」存在。最近はMIT生以外の支援も始めている。前田さんの場合、「学費は東大に行くよりも結局安くなった」。

複数の留学金を併用して海外に臨むケースも出ている。MITで生物工学と神経科学を学ぶ末岡陽太朗さん(21)は受験勉強の傍ら、高校2年生のときから留学制度を調べ始めた。祖父母の代から中央官庁のキャリア官僚という「文系一家」の中で、筑波大付属駒場高時代に国際生物学オリンピックで金メダルを受賞した。

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