適応策作りを支援する国立環境研究所・気候変動適応センターの向井人史センター長が「2100年までの気温上昇を考慮し、その時、地域で何を守るのかを見極めて適応計画を作ってほしい」と話すように、適用策の検討はどんな街をめざすのかという地域の将来像に関わります。春の統一地方選でこうした議論を深めてはどうでしょう。

向井人史・気候変動適応センター長、行木美弥・同副センター長「何を守るか、見極めを」

自治体の気候変動適応計画づくりを支援する国立環境研究所・気候変動適応センターの向井人史センター長と行木美弥副センター長に聞きました。

――自治体にどんな支援をしますか。

気候変動適応センターの向井センター長(左)と行木副センター長(1月、茨城県つくば市)

「気候変動適応法にのっとって自治体が適応計画を作るには、2100年には我が県の気候はどうなるのかという情報が必要になる。国立環境研究所が運営する気候変動適応に関する情報プラットホーム(サイト)『A-PLAT』を充実させ、県ごとに2050年にはこう変わる、2100年にはこう変わるという詳しい情報を提供する。自治体の人材を育成するため、いくつかの研修コースを用意し、つくばにある農業や防災などの研究機関と共同体制をとれるよう話を進めている。研究面では国立環境研究所のほか、幅広い研究機関が参加している環境省や文科省などのプログラムも使い、モデルの精緻化や影響分析を進めてA-PLATで提供していきたい」(向井氏)

――気候変動の影響は幅広く、適応計画でどこまでカバーすべきか自治体には戸惑いがあります。

「コメが大事な県があればミカンが特産の県もある。2100年までの気温の動向を考慮して県として何を守るか、どんな災害に備えるか。それを見極めて計画作りをしてほしい。これまでも取り組んでいることはあると思う。例えば埼玉県は『彩のきずな』というコメの高温耐性品種を作っている。今までやっている施策に長期的な気候変動が起こるということを組み込んでほしい」(向井氏)

――地域気候変動適応センターを設置するのは難しい自治体もありそうです。

「法律はすべての自治体で作れることになっているが、現実問題として作れるものではないというのは環境省もわかっている。大事なことは、地域ごとに自分事として問題をとらえ、その地域に大事なモノを守るために何をしていくのか、地域地域で考えていく必要がある。センターの作り方は地方の環境研究所や大学を活用した形でもよいことになっている」(行木氏)

「大学を活用する県もいくつかある。ある県は『大学だといろいろな分野の専門家がいるのでいろいろなアドバイスができるだろう』と話していた。4月には10近くの自治体で適応センターができるとみている。センターをつくるのに国からお金が出るわけではないので自治体は大変だと思う。しかし適応策では自治体が重要なステークホルダーなので頑張ってほしい。我々もできる限り支援していきたい」(向井氏)

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