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企業年金の選択型DC 加入すれば節税などメリット

2019/1/19

確定拠出年金(DC)制度を導入する企業が増えている

確定拠出年金(DC)制度を導入する企業が増えています。導入済みの企業は2018年11月末時点で3万1957社と、3年ほど前に比べて約1万社増えています。自分の勤め先にもDC制度があるという人は多いはずですが、加入するか否かを社員に選ばせている企業が多いことはあまり知られていません。「選択制」と呼ばれるその仕組みについて解説します。

確定拠出年金は新しい企業年金制度として2001年から導入できるようになりました。どんな金融商品で運用するかを加入者が決め、その運用成績によって将来受け取る年金額が変わります。

従業員が制度に加入した場合、掛け金は企業が負担します。その金額は、月5万5000円(確定給付年金制度を併せ持つ企業は2万7500円)を上限として企業が定め、資金を拠出していきます。

確定拠出年金の導入の際には労使間で、社員はみんな加入者になるなどという取り決めを交わすのがこれまで一般的でした。しかし、企業によっては従業員の意思を尊重するといった理由から選択制としています。その数は不明ですが、ここ数年の主流になっているそうです。

選択制では制度に加入するかしないかの判断が従業員に委ねられます。希望する人は勤め先の窓口に加入の申し込みをします。不要だと考える人は申し込まなければ加入者になりません。

図は選択制を導入する企業でよくあるイメージです。ある社員の月給はもともと40万円です。制度の導入後、本人が加入を選んだ場合、企業は月2万円分を年金の掛け金として拠出します。その代わり、月給を同じ額だけ減らして38万円にします。

中には給与に上乗せして掛け金を拠出する企業もあるようですが、給与を減額する方式にすれば企業は負担を増やさなくて済みます。一方、制度へ加入しない従業員に対しては、従来と同じ40万円の給与を支払います。

将来のための年金原資とするよりは、生活費がかさむ今、2万円分を受け取った方がよいと考える人もいるでしょう。しかし、単純に損得を考えた場合、加入を選んで掛け金としたほうが有利です。

まず給与収入には税金がかかりますが、掛け金であれば収入に含まれず、その分、所得税などの負担が減ります。月2万円、年24万円分、給与が少なくなれば、税率20%の人で単純計算して年4万8000円を節税できます。

厚生年金保険料や健康保険料といった社会保険料も収入に連動します。給与が少なくなればその分、保険料負担は減るのが通常です。厚生年金については保険料の納付額が減って将来もらえる年金額が減る可能性はありますが、多くの場合、現役時代に税・社会保険料を軽減できるメリットのほうが大きくなります。

確定拠出年金へ加入すると原則60歳になるまで資産を引き出せませんが、毎月の掛け金額を途中で見直すことは可能です。社会保険労務士の池田直子氏は「住宅ローンの返済や子どもの教育費などで収入が足りなくなったら、掛け金を減額することを考えたい」と助言します。

[日本経済新聞朝刊2018年1月12日付]

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