荒波越える長期積み立て 平成の日本株、5割伸び

もちろん時期により成績は変わる。図Dでは長期データがある先進国株指数を対象に5年、20年、30年の間、毎月積み立てたとして、資産額が累計投資額の何倍になったかを計算した。

5年積み立ての場合、例えば左端の1990年12月末までの5年間でみて資産額は1.1倍に増えた。ただし、時期によっては元本を大きく割り込んでいる。

20年積み立てだとほとんどの時期でプラス収益を確保した(平均2.3倍)。サブプライム危機下2009年2月末までの20年間はわずかなマイナスだったが、その後も投資し続けていたとすると昨年末に2.9倍になった。30年積み立てはどの時期でも元本を上回った(平均3.5倍)。

世界株の年率リターン、平均7%

同じ定額積み立てでも、期間が長くなるほど成績は改善しやすい。一般に株式相場は周期的に大きな波がくる。相場急落に直面した場合、短い期間では回復が難しくても、長く続ければ回復が期待しやすい。

年率リターンを計算したところ5年、20年、30年のいずれでも平均7%程度だった。世界経済の成長は鈍化しており、今後は7%収益の確保は難しいかもしれない。世界株に長期投資したときの収益率は年5%前後というのが多くのプロの見方。それでも老後資金の支えになる可能性は高い。

図Aには過去の危機時、株価が回復するのにどれだけ期間を要したかを示している。例えば1929年に始まった世界恐慌で米国の株価が高値を回復するのに約25年かかった。

これに対して仮に同じ時期を起点として積み立て投資をしていたとすると、その損益がプラスに回復したのは約13年後と半分の時間で済んだ。株価が大きく下げる過程で安めの価格で買い続けることがこうした回復の早さを生んできた。

投資手法としては積み立てのほか、まとまった金額を一括して投じる方法もある。金額が多いほど株安時に含み損は膨れるが、その場合も、急いで損切りするのは必ずしも得策ではないことを覚えておきたい。

過去の相場データから検証すると、粘り強く世界株投資を続けていれば、長期的には相場が回復して損益はプラスに戻る。その場合、少額ずつの積み立てに比べて利益は増えやすい。

昨年から積み立て型の少額投資非課税制度(NISA)が始まり、課税を気にせず投資できる制度が整ってきた。保有コスト(信託報酬)が極めて安い投信も増えている。こうした環境変化を生かすのも投資効率を高めるのに有効だ。

(編集委員 田村正之)

[日本経済新聞朝刊2018年1月12日付]

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