システム開発を行う企業に対し、「技術者向けのマーケティング研修を提案しましょう」という若手営業担当者。「技術者にマーケティングとはおもしろそうなアイデアだな。B社はそういった課題があるのか? マーケティングといっても内容は幅広いが、どんなマーケティングスキルが求められているんだ?」と聞くと、「ネットのニュースで、『これからの技術者にはマーケティングの視点が必要だ』と書いてあったので……」としどろもどろに。自分で訪問してヒアリングし、聞いてきたわけではないのです。

ネットで検索し、出てきた正解「らしきもの」に飛びついてしまう。仮説を立てて、お客様にぶつけてみることを繰り返し、試行錯誤しながら答えを探すことの大切さに気づくのは、少し時間がかかるようです。

断られるなかで相手のニーズを探すべきはずが……

「一番になる」より「落ちこぼれにならない」。

私が新人だったころの営業担当者たちの中には、「一番になりたい」「人に勝ちたい」という、ある意味ギラギラした人たちがたくさんいました。営業は数字がはっきり出る仕事ですから、負けるとくやしがり、競い合いながら成長してきました。

ところがいまの若手は、「一番になる」「誰かに勝つ」ということに、ほとんど執着しません。「あと一息でチームのトップだ。頑張れ」と言っても、「別に一番にならなくてもいいんです」とそっけない。「一番になる」「ライバルに勝つ」といったことが、仕事を頑張るモチベーションにつながりません。

その一方で、落ちこぼれになることには恐怖心を持っていて、「ほかの人はどんな様子か」は常に気にしているようです。

失敗や自己否定を極度に恐れる。

失敗や自己否定を極度に恐れるのも特徴=写真はイメージ

一番になろうとは思わないが、失敗して落ちこぼれるのはイヤ。酒の席などで率先して豪快な失敗談を披露し、「失敗自慢」をしていた時代とは大ちがいです。失敗とは恥ずかしいこと、忌むべきもの。仕事で何か失敗をして、それを指摘したところ、職場からいなくなってしまい、そのまま退職してしまった、というケースも耳にします。

営業の現場では、「失敗を恐れるあまり、何もできない」といった理由で、お客様への電話や、お客様訪問ができないという人もいます。お客様に断られることを、「失敗」や「自己否定」と捉えてしまうのです。

本来であれば、断られる中で、お客様がどんなものを求め、何を喜んでくださるかを学ぶことができるのですが、いかにそれを回避するかばかりに意識が向いてしまうのです。

断られないようにする一番手っ取り早い方法は、お客様への電話や、お客様訪問を「しない」こと。「なぜ失敗するのがわかっているのに、やらなくてはならないんですか?」というわけです。

これまで失敗経験が少なく、ネットで正解を確認してから行動に移すことが習慣化していることや、SNSなどで失敗を人に見せずに人付き合いをすることが可能になっていることも、その理由かもしれません。

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飲み会の機会も減り、上司の考えが伝わりにくく
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