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世界初、徒歩とスキーによる単独南極横断を達成

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/1/19

ナショナルジオグラフィック日本版

世界で初めて、スキーだけで無支援、単独での南極横断を成し遂げたコリン・オブレイディ氏(33歳)(PHOTOGRAPH BY COLIN O'BRADY)

米国のコリン・オブレイディ氏が世界で初めて、単独、無支援での南極大陸横断を成し遂げた。2018年11月3日に出発し、54日目の12月26日に太平洋側のロス棚氷(棚氷は、陸とつながったまま氷河が海上に押し出されたもの)に到着した。

オブレイディ氏は自身の筋力だけを頼りに、地球上で最も寒くて風が強い、最果ての大陸を、重さ136キロ以上のそりをスキーで引きながら横断。大西洋側から太平洋側まで、南極点経由で約1500キロを踏破した。最後の2日間はラストスパートをかけ、それまでの1日平均の5倍近い距離の約130キロを一気に進み、東部標準時12月26日午後1時少し前(日本時間12月27日午前3時前)、南極横断山脈からロス棚氷に到達し、南極横断の歴史にその名を刻んだ。

オブレイディ氏と同じ11月3日から、英陸軍大尉ルイス・ラッド氏(49歳)も同じ偉業を目指して競っていた。この長く危険な旅の最終週、オブレイディ氏とラッド氏は、生命を脅かすほどの冷たい風とホワイトアウト(吹雪で視界がさえぎられ、方向や地形が把握できなくなる状況)に襲われた。今回の挑戦でどんどん痩せ細っていく中、2人は風が吹き荒れる真っ白な凍てついた世界を1日13時間進んだ。ラッド氏はただでさえ細いウエストが13センチ近く細くなったという。あまりに視界が悪く、目の前の地面すら見えないこともあった。

1カ月半のあいだ、氷点下でのスキーとキャンプを経験してきたラッド氏だが、毎晩恒例の報告で「まったく、容赦ない寒さです」と心境を語ったほどだ。

最後の4日間は晴天に恵まれ、寒さは厳しかったものの、ようやく視界が開けた。氷に覆われた南極横断山脈の尾根が遠くに見え、ラッド氏は「とても感動的な瞬間」と表現した。

2017年、ラッド氏の友人ヘンリー・ワースリー氏が偉業達成を目前にしながら、救急隊に救助されたのは、この近くの地点だった。ワースリー氏は搬送先で死亡した。「ちょうどヘンリーのことを考えていました……ヘンリーの旗と家紋が付いた旗も持ってきました。彼が旅の間いつも持っていたもので、(ヘンリーの妻)ジョアンナが貸してくれました。私にとって、この旗をゴールまで運ぶことは本当に重要なことです。必ず運んでみせます」

その後の3日間で、極地探検の経験が豊富な年上のラッド氏がオブレイディ氏に迫り、ドラマティックな幕引きの舞台が整った。ところが、52日目、オブレイディ氏の日課になっていた夕方の投稿がなく、遠くから見守る人々を心配させた後、53日目、米国東部標準時で25日午前1時、彼はある宣言を行った。

「今日、ゴールから約130キロの地点で目覚め……むちゃなことを思いつきました。もしかしたら最後まで一気に進めるんじゃないかということです」

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