認知症患者がいる家族向け保険 関連トラブルをカバー

日経マネー

写真はイメージ=PIXTA
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「認知症の保険」といえば、認知症と診断された時に給付を受けられるものが多いですが、認知症と診断された人を対象に、これから起こり得る関連トラブルをカバーする保険もあります。

東京海上日動火災保険が2018年10月に販売を始めた「認知症あんしんプラン」は、40歳以上の認知症の人を対象に、その家族が契約できる保険。本人の交通事故などによる死亡・後遺障害補償の他、範囲を広げた個人賠償責任補償、本人が行方不明になった時の捜索費用補償などがセットされたものです。

個人賠償責任保険は、一般に、日常生活上の偶然な事故で他人にけがを負わせたり、財物を壊したりした時に発生する法律上の損害賠償責任をカバーします。

誰にとっても欠かせない保険ですが、この商品ではさらに、認知症の本人が踏切に立ち入るなどして電車などを運行不能にさせ、鉄道会社から損害賠償を求められた場合も対象です。JR東海の線路内で実際に起きた事故を契機に、幾つかの損害保険会社で同様の補償が取り扱われています。

また、レンタル品や友人からの借り物を破損させた際の損害もカバーできるなど、補償範囲は広め。国内・国外いずれで起きた事故もカバーできます。ただし、示談交渉サービスの利用は国内での事故に限られます。

本人が行方不明になった時には、捜索協力支援アプリによる「みまもりあい」が利用できます。幾つかの自治体でも採用されているこのサービスは、アプリをスマートフォンにダウンロードしている地域の人同士で、行方不明の家族の捜索依頼や捜索協力ができる仕組みです。本来は有料サービス(入会金2000円で緊急連絡ステッカー48枚提供、利用料は月300円)ですが、当保険の契約者は無料で利用できます。

行方不明になってから24時間経過しても発見されない場合は、捜索にかかった実費(ポスターやビラ、新聞広告の費用、交通費、通信費、捜索機関への依頼費用など)が1事故につき30万円を限度に支払われます。

25年には、国内の認知症患者が700万人に達するといわれており、誰もが安心して暮らせる社会づくりは急務です。あらゆる業界からのサポートが必須となっています。

認知症患者の家族ならではの不安・心配に着目して開発されたこの保険は、社会課題の解決の一助になるものでしょう。損保業界のさらなる商品開発に期待したいところです。

清水香
生活設計塾クルー。学生時代から生損保代理店業務に携わり、2001年、独立系FPとしてフリーランスに転身。翌年、生活設計塾クルー取締役に就任。『地震保険はこうして決めなさい』(ダイヤモンド社)など著書多数。財務省「地震保険に関するプロジェクトチーム」委員。

[日経マネー2019年2月号の記事を再構成]

これまでの「生保損保業界ウオッチ」の記事はこちらからご覧ください。

日経マネー 2019年 3 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 750円 (税込み)


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