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18年のベスト経済書 創造的破壊に迫る鮮やかな分析

2019/1/11

特設の書棚で「週刊ダイヤモンド」選出の「ベスト経済書」ランキング登場本を並べる(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回はいつもの定点観測に戻る。訪れたのは紀伊国屋書店大手町ビル店だ。まだ仕事始めから日も浅く、新刊も数えるほどしか入っていない。本の動きが鈍い例年通りの年始めだ。そんな中、書店員が注目したのは、年末に発行されたビジネス誌による年間ランキングで「ベスト経済書」に選ばれた、データ分析を使った知的エンターテインメントとも呼ぶべき経済書だった。

■元はハードコアな学術論文

その本は伊神満『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』(日経BP社)。タイトル自体は物々しい。実際元になっているのは、学術誌に掲載された著者自身によるハードコアな研究論文だ。ところが、その内容を「昔の同僚と久しぶりに飲みに行き、『退職後はこんな仕事をしてきました』と気安く語るようなつもりで書いた」と著者は言う。著者は1978年生まれの産業組織論を専門とするエール大学准教授。気鋭の経済学者が本格的な研究の中身をわかりやすく語った本なのだ。

一時代を築いた「勝ち組」は、どうして新世代の技術・競争に出遅れがちなのか? では、どうしたら良いのか? 政府に果たせる役割はあるのか? これらの問いは、経営学者クリステンセンが1997年に著書『イノベーターのジレンマ』(邦訳書名は『イノベーションのジレンマ』)で打ち出した問いだ。著者はこの問いに最先端の経済学的なデータ分析で答えを導き出していく。

クリステンセンの名著に接した著者は、感銘を受けたが、一方で物足りなさも感じたという。そこで、足かけ10年研究を続け経済学的に煮詰めていった。本書では、その思考プロセスそのものを「脱線の多いフワフワした語り口」で追体験するようにたどり直していく。まず実証分析に使う3つの理論と実証作法について語り、その下準備をもとに「なぜ既存企業のイノベーションは遅れがちなのか」について本格的な実証分析を披露するという構成だ。

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