脳トロボイス 次世代アイドル、フィロのスは歌が売り
本格志向の次世代アイドル(1)
ファンクやR&B……。音楽通もうならせる本格派の楽曲とかわいらしさを両立させ、ファンをひき付けてやまない女性4人組アイドル、フィロソフィーのダンス(フィロのス)。絶妙なバランスを見つけるまでの道のりは偶然の連続だった。
グループ結成前、リーダーの奥津マリリさんはシンガーソングライター、日向ハルさんはバンドで歌っていた。アイドル志望ではなかったが、歌う場所を求めてフィロのスにたどり着いた。一方、すでにアイドル活動をしていた佐藤まりあさんにとっては「ファンクやR&Bを歌うのは予想外」。ゲームオタクの十束おとはさんも「最初から楽曲重視のアイドルと聞いていたら絶対にオーディションを受けていない」
思いがけず集まった、個性もバラバラな4人が生み出すパフォーマンスは、一般的なアイドルの枠に収まらない。
「ゴリゴリのゴリ」と称される日向さんの力強い歌声と、奥津さんの甘い「脳トロボイス」が歌を引っ張る。佐藤さんの笑顔あふれる正統派アイドルパフォーマンスと、十束さんのキャッチーなアニメ声はアイドルオタクに刺さる。
2018年11月、東京・渋谷で開かれたライブを訪れた埼玉県在住の鈴木航太朗さん(25)は「歌への意気込みが届くので、ライブで見るとより好きになるんです」と話す。「全部を包み込む肯定感を出したい」(奥津さん)という思いがファンに伝わっている。
アイドルらしい親しみやすさだって満点だ。ハロウィーンにはドラえもんの仮装で顔を白塗りする本気が爆笑を誘った。日向さんは「バラエティーでそれぞれの個性が際立つ嵐のようなグループになりたい!」と夢を描く。
お決まりのアイドルはもう物たりない。2019年もフィロのスだけの「アイドル・フィロソフィー」を求めて踊り続ける。
[日経MJ2019年1月4日付]
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