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老後資産を枯渇させない 資産の引き出し方はどう選ぶ

日経マネー

2019/1/25

写真はイメージ=PIXTA
日経マネー

前回の「老後資産は定率で引き出す 75歳以降は定額もあり」では、資産の引き出し方には多くの方法があり、それぞれに一長一短があることを説明しました。今回は老後資産の投資について考えてみましょう。

投資は何歳まで続けるべきでしょうか。フィデリティ退職・投資教育研究所が2017年に実施したアンケートで最も多かったのは、「75歳まで続けたい」という回答でした。現役世代の39.9%、退職者の48.4%がこう答えています。「できるだけ長く投資を続けたいが、まずは75歳くらいまで」という人は、意外と多いのです。

そこで今回は、いつまで投資を続けるかという点と、それに伴う資産の引き出し方を考えてみます。

■収益率次第の定額引き出し

まずは「定額引き出し」と、資産残高の一定比率を引き出す「定率引き出し」の違いを考えます。ここで、実際に定額引き出しと定率引き出しでどれぐらいの差がつくのかを見てもらいます。

60歳で資産が1000万円だった人が75歳まで資産を運用する事例を2パターン考えました。15年間の平均収益率は共に0.9%ですが、年ごとの収益率は前半が好調なAと後半が好調なBとで分けてあります。Aの年間収益率の順番を逆にしたものがBというわけです。リスク指標である標準偏差もAとBで同じになりますから、単に運用するだけならAとBで差はつかないはずです。

ここで、それぞれ年間40万円を引き出した場合と、資産の4%を年間で引き出した場合を考えます。AとBとで15年間の資産推移を図に示しました。

注:年間収益率が異なる2つのパターンを想定。定額では年間40万円、定率は年間4%を引き出す。AとBの15年間の平均収益率は同一、標準偏差も同一

前半が好調で後半が不調のパターンAだと、資産の推移は定額と定率で大きくは変わりません。定額引き出しした場合の15年後の資産残高は670.4万円。使っている割に意外に減っていませんね。

ところが前半に損をするパターンBだと、様相が一変します。定額引き出しした場合の15年後の残り残高はわずか240.5万円。400万円以上の差があります。

なぜこんな現象が起きるのでしょうか。最初に運用のマイナスが続くと、定額引き出しでは元本の減少を早めてしまうからです。その結果、最後の方で収益率が回復しても、大きく毀損した元本は十分に戻ってこないのです。これを「収益率配列のリスク」といいます。

イラスト:小迎裕美子

75歳以降に安定的に資産を引き出したいなら、年間の収益率の並び方の違いで残る資産に大きな差が出てしまうのはリスクです。これを回避する方法こそ、残高の一定率を引き出す定率引き出しです。

図では定率引き出しの場合の資産推移も示してありますが、AでもBでも15年後の残高は同じ621.7万円になります。もちろん年ごとの推移は違いますが、着地は同じになるわけです。

毎年の収益率がどうなるかを事前に知る方法はありません。パターンAなら定額でも問題ありませんが、Bだと悲惨です。そのリスクを避けるには定率引き出しが有効な手段となるのです。

問題もあります。定率引き出しだとAとBの年間引き出し額は大きく異なります。年間50万円近い開きがある年もあります。

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