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イノシシも演劇も雅楽も 大学博物館でお得な宝巡り

2019/1/12

1928年設立の早稲田大学坪内博士記念演劇博物館(東京・新宿)は東洋唯一の演劇専門博物館だ。企画展「現代日本演劇のダイナミズム」(1月20日まで)の会場をのぞくと、展示パネルにカラフルなゴムひもを張り巡らせることで現代演劇の担い手たちのつながりを表現するユニークな趣向に驚かされる。

16世紀の英国の劇場「フォーチュン座」を模した早稲田大学坪内博士演劇博物館(東京都新宿区)

館長を務める岡室美奈子教授は「一般の方々に現代演劇の見取り図をわかりやすく提供し、演劇文化の裾野を広げたい」と展示手法の意図を解説する。同館ではこうした空間デザイン的な手法による展示や最新デジタル技術を駆使して「博物館全体を楽しんでもらう」ことを目指す。無声映画の上映会や旬の演劇人を招いたイベントを開催するほか、岡室館長自身が大好きだというテレビドラマ関係の展示やイベントも好評だ。

■即位礼控え、特別展を企画

神道学科が設置されている皇学館大学(三重県伊勢市)のキャンパス内にある佐川記念神道博物館。日本でも珍しい神道をテーマにした博物館だが、祭祀(さいし)を中心とした神道関係史料のほか、考古学史料や伊勢歌舞伎など珍しい郷土史料も展示されている。

今年は30年ぶりの天皇即位。学芸員の浦野綾子氏によると、5月31日から即位礼や大嘗祭(だいじょうさい)に関する貴重な史料群を中心とした大規模な特別展を開催する予定だ。伊勢神宮に近く、お伊勢参りと併せて訪れるのも楽しそうだ。

正月に耳にする雅楽などに使われる楽器のことが知りたければ大阪音楽大学音楽メディアセンター楽器資料館(大阪府豊中市)を訪れるといい。日本古来の伝統音楽・芸能関係の国内屈指のコレクションは見ごたえ十分。

学芸員の大梶晴彦氏は「楽器の進化は一方向ではない。時代背景や地域性、心や技の伝承など、それぞれの時刻・空間を生きた人間の英知には理由があり、決して古いものが劣っているわけではないということをお伝えしたい」と話す。月2回程度開催する学芸員による詳しい展示解説には、大阪近郊だけでなく全国から申し込みがあるそうだ。

学生や研究者でなくても、貴重な大学の知の集積に気軽に触れられる大学博物館。近隣や通勤経路などにある大学キャンパスをチェックして、ほかにもユニークな展示を探してみてはいかがだろうか。(ライター 大谷 新)

[日本経済新聞夕刊2019年1月5日付]

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