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老後資金の投信、売却額は自ら決めろ 分配頼みはNG

日経マネー

2019/1/18

写真はイメージ=PIXTA
日経マネー

株式投資ほどのリスクは取れないが、分散投資でリスクを下げつつ少しでも資産を殖やしたい。こんなニーズに応えた商品として、投資信託が人気を博している。ただ、一口に投信といっても中身は多種多様。自分に合った商品を見つけるには、どうすればいいのか。投信初心者の疑問をプロが分かりやすく解説する。

◇  ◇  ◇

Nさん(以下、N) 老後資金をつくるために、投資信託の長期積み立て投資を始めました。最終的には、増やした資産を取り崩しながら老後の生活費に充てたいと考えています。運用しながら一部の資金を引き出す場合、やはり毎月分配型投信を使って定期的に取り崩すのがいいでしょうか。

吉井崇裕(以下、吉井) 毎月分配型で取り崩すのは、お勧めできません。まず、自分が必要とする生活費と毎月の分配額とが一致するとは限りません。また初めのうちは仮に一致していても、分配金は増額したり減額したりと変化します。その都度、投信を買い替えるのも合理的ではありません。主要な毎月分配型のこれまでの実績を見る限り、基準価額に対する分配金の水準(見かけの分配金利回り)が高い投信ほど、時間の経過とともに分配金が引き下げられる傾向があります。そのような投信で取り崩しても、数年で計画倒れに終わることが予想されます。

N 最近では、「運用資産のうち年間○%分を取り崩す」という方針を定めた定率分配型投信もあるようですが、そちらはどうですか。

吉井 定率分配型は運用資産の増減に応じて分配金が変動するので、従来の定額分配型と比べて、資産の過剰な取り崩しを抑制する効果が期待されます。しかし、生活に必要な取り崩し額が決まっているのであれば、毎月の受取額が変わると困りますよね。

N 確かにそうですね。では、どうすればいいのでしょうか。

吉井 答えは簡単。分配金が(ほぼ)出ない投信で運用して、必要な金額分だけを自分で一部売却すればいいのです。その際、毎月売却するのは面倒ですから、年に1度、1年分の必要額を売却するといいでしょう。手元に戻ったお金は預貯金に入れておいて、そこから生活資金を随時引き出せばいいのです。

N 毎月の受け取りにこだわる必要はない、ということですか。

吉井 運用資産を分配金で取り崩すのも、自分で一部売却するのも同じことです。自分でやった方が、計画的に資産を長持ちさせることができると思いませんか。

N そうですね。私の場合、株式や債券など複数の投信を組み合わせたポートフォリオ(資産構成)で運用しているのですが、その場合はどう取り崩せばいいですか。

吉井 図のように、ポートフォリオの皮をむくイメージで各投信を売却していくといいでしょう。

N なぜでしょうか。

吉井 一部の投信だけを売ると、資産の配分が崩れてしまうからです。そうなると、当初目標としていたポートフォリオのリスク・リターンが変わってしまいます。株式や債券などの相場変動によっても資産配分は崩れますが、その時は売却後に当初の配分に戻すように各投信を売ればOKです。

N 年に1度、リバランス(資産配分の再調整)をしながら売却するということですね。

吉井 その通り。資産運用は始める時に目標を決めるのも大事ですが、取り崩す時に計画的に行うことも重要なのです。

本連載は今回で終了しますが、今後も皆さんの投信運用の成功を願っています。3年間、ありがとうございました。

吉井崇裕
イデア・ファンド・コンサルティング社長。ファンド・アナリストとして、国内約6000本の投資信託を常時分析する。モーニングスター、三菱アセットブレインズにてファンド・アナリスト、朝日ライフアセットマネジメントにて販売および運用関連業務に従事。現在は神奈川県鎌倉市で個人投資家向けに投資助言サービスも行う。http://ideafc.co.jp/

[日経マネー2019年2月号の記事を再構成]

日経マネー 2019年2月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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