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事業提案が続々、残業減がゆとり生む 三菱地所子会社

三菱地所プロパティマネジメント 川端良三社長(下)

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NIKKEI STYLE

三菱地所プロパティマネジメントは2016年度から働き方改革のプロジェクトに取り組んでいる。前回の記事「残業3割減、削った経費は給料で還元 三菱地所子会社 」では残業削減に成功、削減した残業代は社員に給料で還元したことをお聞きした。今回はプロジェクトの結果、社員の意識や行動に生じた変化について、川端良三社長に聞いた。

入浴剤「大手町の湯」を開発

白河 社員の方々の意識や行動に変化は見られますか? 残業削減によって起こっている変化があれば教えてください。

川端 まず、全社員に共通して、「時間に対する感覚」は明らかに変わったと思います。弊社では半期に一度、アンケートで社員の観測を続けているのですが、集計結果を読み込むと、働き方改革に対する納得感や、生産性への意識は高まってきているのがわかります。

白河 浮いた時間の使い方としては、どのように活用されているのでしょうか?

川端 はじめは「家族のために時間を使えるようになった」という回答が多かったのですが、最近は「スキルアップのための勉強に時間を使うようになった」という回答も増えてきました。

白河 自己研さんのきっかけになっているのですね。

川端 効率化によって生まれたゆとりを活用して、有志で集っての新規事業開発も活発に見られるようになりました。18年10月に、丸の内の「ご当地プロダクト」として発売した薬用入浴剤「大手町の湯」もその一つです。

大手町再開発の際に掘削した天然温泉の泉質を再現してバスクリン様と共同開発した入浴剤で、丸の内のイルミネーションカラーにちなんで「シャンパンゴールドの湯色」を楽しめるというユニークな商品です。丸の内にある店舗と連携して蕎麦打ち体験や江戸前寿司体験ができる「丸の内 Holiday」というプログラムも、付加価値創造のためにボトムアップで生まれたプロジェクトです。

白河 面白いですね。残業削減の後に、丸の内という資産をさらに高める新しいアイデアが生まれているというのは希望が持てますね。

川端 もう一つ、18年4月に企業向けの保育所付きワーキングスペースとして「コトフィス」という事業も始まりました。託児所が併設されたコワーキングスペースなので、当社管理ビルにご入居いただいているテナント様従業員の方々が子育てしながら安心して働ける場の選択肢として活用いただいています。1社で5枠ほど契約されるところもあって、評判は上々です。弊社も30歳以下の社員は女性が50%という比率になっていますので、自社としても環境を整えていかなければいけないという課題感があるんです。この「コトフィス」も女性社員のアイデアから生まれた事業です。

すべての社員が働きやすくなった

白河 女性社員が増えているということですが、一連の働き方改革に対する女性社員からの内部評価はいかがですか?

川端 好評のようです。ワーキングマザーの社員からは「1年前と比較して、とても働きやすくなった」という声が増えてきたと聞いています。その理由というのが「全社的に改革が進んだことで『ママ社員だけ』ではなく、すべての社員にとって残業の少ない働き方が当たり前になってきたから」と。

白河 まさにそこが肝ですよね。時間制約のある人たちが後ろめたさを感じずに働ける環境づくりがポイントだと思います。一方で、これまで長時間労働に打ち込んでいた男性社員の方々はいかがですか?

川端 奥さんやお子さんが急病になった時には在宅勤務を活用する人が増えてきているように感じますね。あと、先ほども申したように、会社方針として残業削減を行なってきたことで、「有効な時間活用の方法を考えたい」というきっかけになっている人は多いようです。

白河 生活スタイルを変えるのには時間がかかりますから、御社のようにある強いリーダーシップのもと取り組みを進めるのがいいのかもしれませんよね。社長自身の生活にも変化はありましたか?

川端 そうですね。私の場合はこの会社に来るまでは三菱地所のビル営業部というところに17年間いたんですね。営業経験を積むことで徐々に実績が上がってくると、「自分の時間を使うほどに成績も比例する」という感覚が身についてしまった。持てる時間のほとんどすべてを仕事に費やし、そしてそれが成績にもつながって……という、まさに長時間労働のサイクルにいたんです。

ところが、3年前に妻を亡くしまして、子育てを一手に担う生活へと変わりました。私自身が時間効率をできる限り高める働き方に切り替えざるを得なくなったという事情があるものですから、「時間は無限ではない。『やり切る力』を磨かねば」という意識がより強くなったと思います。それが自然と、今の改革の姿勢につながっていると感じていますし、時間を有効に使う意義を社員一人ひとりと共有していきたいという思いがあります。

白河 社長の個人としてのご体験もベースにある改革だということが分かり、とても納得できました。これから先はどのような展開を目指していく予定ですか? 今後の目標を聞かせてください。

川端 現場からの発案で改善できることは一定の成果を出したので、これからはそれらの定着を目指すとともに、経営判断でさらに踏み込んだステージまで進めていく段階だと考えています。例えば、業務の必要性を検討する中で「この仕事の必要度は0%か10%」という場合は、現場の判断で削減まで進められますが、例えば「必要度が30%程度はある」という様な仕事を現場の判断だけで削減するのは難しいと思います。この判断を行うのは経営層だと考えています。

今後はより踏み込んだ施策もやっていかなければと気持ちを引き締めているところです。最近は、親会社、グループ会社の方から「事例を聞かせてほしい」と聞かれることも増えてきました。

うれしいのは、社員の方から「残業削減と並行して、社内のコミュニケーションをより充実していく取り組みもやってほしい」という前向きな意見が出ていることです。残業代の還元策として最近導入したものに「ライフ支援金」という取り組みがあるのですが、これは部内の交流を使途として1人5000円相当を補助する支援金です。「チームで一緒にランチを食べる等のコミュニケーションをとることが、チーム内のリレーション強化につながり、まわりまわって働きやすい環境を創出する」という発想で始まったものです。チームワーク活性とつながる改革が現場主導で進んでいることに、非常に期待を感じています。

あとがき:働き方改革の成功の要因は、現場発のアイデアを尊重したこと、「報酬の改定」にいち早く取り組んだこと、さらに社長自身の本気度です。長時間労働の時代が当たり前の時代を過ごし、奥様のご逝去で「24時間は闘ってきた」会社員は初めてWLBの必要性にせまられる。「今も3食作っています」という社長は「時間の有限性」がすでに腹落ちしているから説得力があるのです。働き方改革は「労働時間の制限」や「テレワーク」だけでなく、「評価報酬制度」と言う人事管理の基本システムの見直しが迫られるという好事例でした。

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「『婚活』時代」(共著)、「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)。

(ライター 宮本恵理子)

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