麻辣にタッカルビ… 寒さに勝つ新春のトレンド鍋3選
寒さも厳しさを増し、温かい鍋がひときわおいしく感じられる季節がやってきた。鍋の種類は増え続け、飲食店では毎年のようにトレンド鍋が生まれ、百花繚乱(りょうらん)といえる状況だ。今冬ぜひ食べておきたい注目の鍋3種類を紹介しよう。
昨年から麻辣(マーラー)がブームになっている。麻辣とは、サンショウ(麻=マー)とトウガラシ(辣=ラー)を使った激辛料理のこと。単に辛いだけでなく、サンショウ由来のしびれる辛さがあるのが特徴だ。四川料理の代表格であるマーボー豆腐などに代表される味付けで、日本のサンショウより刺激の強い、花椒(ホアジャオ)という中国のサンショウを使うことが多い。麻辣味の料理を積極的に食べることを「マー活」と呼ぶこともある。
今冬は麻辣味の鍋も登場。2018年4月に横浜市のみなとみらいにオープンしたギョーザ専門酒場「餃子(ギョーザ)ストック221」では、花椒を使った「しびれ坦々(タンタン)餃子鍋」(1人前税込み1490円、注文は2人前から)を2月末まで提供している。
ゴマがたっぷり入った少しピリ辛のスープに、自家製のシビれ油(麻辣油)が加えてあり、刺激的で爽快なしびれがやみつきに。具はギョーザやニラ、エノキ、キャベツ、豚バラ肉など。辛さが得意な人にはシビれ油の増量もしてくれる。逆に辛さが苦手であれば、シビれ油を抜いてピリ辛スープだけで楽しんでもいい。
さらに追加注文できる7つのギョーザダレで味を変えることもできる。香りのよい自家製の特製ラー油(216円、税込み)やさっぱり酸味のある油淋(ユーリン)ダレ(108円、同)などがお薦めだ。シメにはうどんがセットになっているが、シメの前にライスを注文し、ごはんに具材をかけてねこまんま風に食べるスタイルがスタッフのイチオシ。濃いめの味なので、ごはんも進む。おなかに余裕があればぜひ試してほしい。
「夏に花椒を使用したメニューを提供したところ反響が大きかったので、シーズンの鍋にも導入し、さらに鍋具材には珍しいギョーザを合わせて試行錯誤してたどり着きました」と同店を運営するリン・クルー広報の三上裕巳さん。ちなみに同社が運営するほかのチェーン店舗でも激辛メニューのオーダー数はここ1年で伸びているそうだ。
「チーズタッカルビ」人気もとどまるところをしらない。鶏肉をピリ辛のタレに漬け、キャベツなどの野菜といためて食べる韓国料理「タッカルビ」は韓国・春川の名物料理だが、近年はそれにチーズを合わせる「チーズタッカルビ」が大人気。本場韓国でも日本でもブームになっている。
チーズをからめると味がマイルドになるため、辛さが苦手な人でも食べやすい。日本では韓国料理店のみならず、コンビニや牛丼店などのメニューとしても登場している。意外なところではイタリアンレストランでもワインと一緒に味わうことができる。
18年6月に東京・新宿にオープンした「イタリアンダイニング レ・アミーケ ルミネ新宿店」はチーズ料理をウリにしたイタリアンレストラン。ここで食べられるのが、「ディアブロチキンのチーズタッカルビ」(1人前税別1480円、注文は2人前から)だ。チキンをトウガラシでマリネして焼いたピリ辛のディアブロチキンを熱々のチーズに付けて食べる。鍋風にアレンジしたチーズタッカルビで、まるでチーズフォンデュを食べているような感覚だ。
チーズは、プレーン・バジルチーズ・アラビアータ・ブルーチーズの4種類あるので、あれこれ食べ比べるのもおもしろい。なかでもイタリアンらしいのが、パスタでも定番の「アラビアータ」。トウガラシ・トマトソース・ンドゥイヤ(辛いサラミ)が入ったチーズで、鶏肉との相性も抜群。付け合わせで野菜とキノコのトマト煮込みも付いている。シメには残ったチーズでパスタを作ってもらうこともできる。
「流行のタッカルビを、チーズ店流にうまく提供したいと思い開発しました。イタリアンらしさを出すためのおしゃれな鍋選びなどもこだわりました」と同店を運営するダイナック営業推進本部広報担当の中村友信さんは話す。
ターゲットは20~40代女性。もともと店名の「アミーケ」とはイタリア語で女性同士、女友達の意味。「ディアブロチキンのチーズタッカルビ」は通年食べられるメニューだが、冬は特においしく感じられるはず。見た目のオシャレ感もあり、女子会などにもよさそうだ。
パクチーブームもあって、タイ料理をはじめとするエスニック料理好きが増えている。以前はエスニック料理というと夏のイメージが強かったが、近年は季節を問わず人気だ。エスニック料理を冬らしいスタイルで楽しむなら、断然、鍋料理がお薦めだ。
東京・溜池山王のタイ料理レストラン「Gin Khao California Thai」(ギンカーオ)では、一度に2種類のエスニック鍋を楽しめる「トムヤム&グリーンカレー鍋」(1人前税別1490円、注文は2人前から)を2月末まで提供している。火鍋によく使われる真ん中が区切られたおしどり鍋に、トムヤムとグリーンカレーのスープが半分ずつ入れてあり、2種類を食べ比べしながら楽しめる。
グリーンカレーはココナツミルクの風味が効いていて、味わいもまろやか。辛さはそれほどでもないと感じるかもしれないが、煮詰まってくると辛味が増す。一方トムヤムは、さらりとしつつも刺激的な辛さが後を引く。激辛ではないが、エスニック好きも十分満足できる辛さだ。
具材はエビやホタテなどのシーフード、豚肉や鶏肉、さらにパクチーをはじめ、キャベツやハクサイ、長ネギ、エノキなどの野菜で具だくさん。どの具をどちらのスープに入れるかは基本的に自分の好みでOKだが、トムヤムスープにはエビやホタテなどの魚介類を加えるといいだしが出て実にうまい。
ちなみに有名な「トムヤムクン」の「クン」はタイ語でエビの意味だが、現地タイには「トムヤムガイ」(ガイは鶏肉の意味)という別の料理もあるので鶏肉を入れるのもあり。また、揚げ餅や揚げナスはグリーンカレーと相性がいい。シメはライスヌードルや中華麺のほかにジャスミンライスも選べるので、あえて少しスープを煮詰めてジャスミンライスにグリーンカレーをかけるのもいい。
エスニック鍋は個性が強いが、2種類を同時に食べられるので飽きないし、交互に食べ比べることでむしろ箸が進む。スープ自体はそれほど辛くないが、鍋の熱さもあり、食べるうちにじんわり額に汗が出てくる。
「エスニックは夏場に好んで食べられますが、タイ料理もその一つ。そこで今年の冬場の集客メニューとして特別なエスニック鍋を考案しました。タイ料理の定番であるトムヤムとグリーンカレーは、いずれも当店の人気メニューです。この2つを鍋スタイルで一度に提供できないかと考え火鍋風にしました」と店長の神野陽亮さん。
鍋一つでおなかいっぱいになるため、コストパフォーマンスもよいと好評だ。様々な酒とも合わせやすく、クラフトビールやタイワイン、インスタ映えするリゾートカクテルなどドリンクメニューも充実している。
みんなでワイワイ囲む鍋は体はもちろん、心もポカポカになる。新年会はトレンド鍋で仲間と盛り上がってはいかがだろうか。
(GreenCreate)
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