週末レシピ 赤いエビチリ&白いエビマヨ、夢の競演
エビ好きさんが、中華レストランで注文する料理の代表格、「エビチリ」と「エビマヨ」。正確には、「エビのチリソースいため煮」と「エビのマヨネーズあえ」であるが、今や略称での呼び方が定番化しているだろう。
出来たて熱々のエビ料理を、自宅で食べられたら幸せこの上ない。どうせ同じエビ料理だ。途中までの工程も変わらない。同じフライパン1つで一度に2種類、赤いエビチリと白いエビマヨを作ってしまおう。色のコントラストも紅白とめでたく、なんともぜいたくではないか。
では、エビチリとエビマヨの両方の下準備に取りかかろう。
無頭殻付きエビ 16~20尾 / 塩 適量 / 片栗粉 適量
(1)エビの殻をむき、背ワタを取る
(2)塩でもみ、水で洗う。さらに片栗粉でもみ込み、水で洗い流す
(3)キッチンペーパーなどで、水気を拭き取る
背ワタを取るのが面倒なので、むきエビを使ってもよいかと質問をされたことがある。むきエビを使っても、やはり背ワタを取る作業は必要。ようじで背ワタを取るのはおっくうだが、殻をむいてから背割りにすれば簡単。しかし最近の無頭エビは、頭を外す際に、背ワタも取り除かれていることが多い。
なにより、殻付きエビはむきエビ以上のプリプリ食感がたまらない。高価なエビでなくてかまわないが、やや大ぶりで殻付きのエビを調達してほしい。
下準備(A)のエビ 全量 / 塩・コショウ 各少々 / 酒 大さじ2 / 卵白 1個 / 片栗粉 大さじ2 / サラダ油 大さじ1
(1)エビに塩、コショウ、酒、卵白を加え、軽く泡立つようにもみ込む
(2)片栗粉をエビに絡め、サラダ油で全体をコーティング。ラップをかけ冷蔵庫に入れる
下準備(A)でエビの水気をしっかりと拭き取らないと、下味がなじまないので注意。冷蔵庫に最低30分ほど入れた後、常温に置いておく。その間に、それぞれのソースを用意しておこう。
マヨネーズ 大さじ6 / 練乳 大さじ2 / トマトケチャップ 少々 / レモン汁 大さじ1 / 粒マスタード 大さじ2 / 和ガラシ 適宜 / 塩・コショウ 各適量
すべての材料がなじむように混ぜ合わせる
練乳が入り濃厚になるが、2種類のカラシとレモン汁を加えることにより、後味がサッパリとし大人向きのソースに仕上がる。よりコクを出したい場合は、以前「卵サラダ」の回で紹介した、手作りマヨネーズを使うとよい。(「新鮮手作りマヨネーズが決め手、卵サラダ」参照)。
トマトケチャップ 大さじ4 / トウバンジャン 大さじ2 / 砂糖 小さじ1 / 酒 大さじ1 / 鶏ガラスープ(中華スープの素を湯に溶いて使用)1カップ/ 塩・コショウ 各適量
(1)ケチャップとトウバンジャンを合せる
(2)(1)とは別の容器で、砂糖、酒、スープ、塩、コショウを混ぜる
今回は、エビパウダーとトウガラシパウダーがミックスされた塩を使用している。激辛好きであれば、一味トウガラシなどをプラスしてもよい。
エビもソースも用意ができたら、本番の調理に取りかかろう。まずはエビマヨから。
下準備(B)エビ 半量 / マヨソース 上記全量 / 小麦粉 大さじ5 / 片栗粉 大さじ1 / 炭酸水 またはビール 大さじ6 / サラダ油 小さじ1 / カシューナッツ 適量 / 揚げ油 適量
(1)小麦粉、片栗粉を炭酸水で溶き、サラダ油を混ぜる
(2)エビに(1)の衣をたっぷりと付け、160℃の油で揚げる
(3)最後に、砕いたカシューナッツをマヨソース混ぜ、エビを絡めてできあがり
準備さえしておけば、あっという間に仕上がってしまう。とは言え、揚げ物は面倒だ。特に後始末が厄介で敬遠されがち。その気持ちは、十分にわかる。ただし、このひと手間で、プリプリ感とソースの絡みは雲泥の差なので頑張ってほしい。
手間を軽減させるために、1つのフライパンを使って先にエビマヨ用のエビを揚げ、そのままのフライパンでエビチリを作る。
下準備(B)エビ 半量 / チリソース 上記全量 / 長ネギ 1本 / ニンニク 1株 / ショウガ 1片 / 酢 大さじ1 / ゴマ油 小さじ1 / 水溶き片栗粉 適量 / 卵黄 1個
(1)ネギ、ニンニク、ショウガを粗みじんに切る
(2)エビマヨで使用したフランパンで、エビを揚げて取り出す。揚げてから、フライパンに大さじ1の油だけ残しておく
(3)(2)のフライパンで、ニンニクとショウガ、<チリソース>(1)をいためる
(4)<チリソース>(2)を加え、沸騰したらネギとエビを戻す
(5)水溶き片栗粉でトロミを付け、溶いた卵黄も加える。酢とゴマ油を回してできあがり
エビは最後にソースととも加熱するので、さっと揚げるだけでよい。
先述した通り、エビチリは「エビのチリソースいため煮」。中華・四川料理の「乾焼蝦仁(カンサオシャーレン)」とは、別モノだということをご存じだろうか。「乾焼」とは、汁気がなくなるまで焼くようにいためることで、日本のエビチリよりもかなり辛さが際立ちソース気の少ない料理。日本における、四川料理の第一人者とされる料理人が、本場、四川の味わいを残しつつ日本風にアレンジした料理が、エビチリなのだ。
エビマヨは、米国経由の中国料理の日本版で、日本での歴史は浅い。1990年代、頻繁にテレビ出演していた、今は亡き中国料理人により紹介され、広まったとされている。
私は、エビチリもエビマヨも好きだが、以前はさほど真剣に向き合って食べていなかった。ところが、数年前、中国料理店の元総料理長による講習会を受けた際に食べたエビマヨに感動。それから1年をかけ、エビチリとエビマヨ行脚に出た。するとどうだ、店によりこんなにも違いがあるのかと驚かされた。それにより、それぞれのいいとこどりをして、簡単でおいしいレシピを考案した。
何も難しいことはない。下準備さえしておけば、あとは加熱し、ソースを絡めるだけ。下味を付けたエビを冷蔵庫に最低30分と記したが、事前にここまでを済ませ、食事時に調理から始めてもよい。
この連休は平成最後の成人式だ。紅白料理で、新成人を祝おうではないか。さあ、殻付きエビを買ってきてプリプリのエビ料理に挑戦だ。
(世界料理探究家 T.O.ジャスミン)
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