2019年のREIT市場、上値が重い展開に?

日経マネー

写真はイメージ=PIXTA
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株式市場の乱高下が続く中でも、2018年11月のJ-REITは上昇基調だった。東証REIT指数は18年8月から1750ポイントを挟む展開が続いていたが、11月には上昇に転じ、下旬には17年3月以来となる1800ポイントを上回った。J-REIT価格は17年1月以降、投資信託の大幅な売り越しを主要因として下落していたが、価格面ではその影響が出る前の状態に戻った格好だ。

注:データは2018年12月7日時点、上場直後のためNAV倍率、NOI利回りは公表していない

半面、19年のJ-REIT価格は上値が重い展開になるとみている。具体的には東証REIT指数で1750ポイントから1650ポイントを中心としたレンジでの動きとなりそうだ。

18年のJ-REIT価格の上昇は、海外投資家の大幅な買い越しが牽引してきた。これに変化があると、最大の下落要因となりそうだ。

18年10月時点までの海外投資家の月間平均買い越し額は、リーマン・ショック前の06年(227億円)と07年(327億円)に次ぐ203億円になっている。その他の投資部門を見ると、13年から15年の価格上昇を牽引してきた金融機関や投信は、18年には逆に過去最大の売り越し規模となっている。

金融機関のJ-REIT投資は、これまでの個別銘柄からJ-REITのETF(上場投資信託)へ移行しているといわれている。しかし、大幅な買い越しが続く証券会社の自己取引勘定に含まれていると考えられるため、その動向は判然としない。

投信は18年9月に17年3月以来の買い越しとなったが、10月にはまた売り越しに転じるなど買い越し基調に転じるという明確な動きにはまだなっていない。このような点から考えると、海外投資家の動向が変化した場合は下落しやすい環境にあると考えられる。

18年11月の価格動向を見ると、時価総額の大きい銘柄の価格上昇傾向が強くなっている。時価総額が市場で最大の日本ビルファンド投資法人(以下、NBF)の価格推移を見るとそれがよく分かる。

NBFの価格は18年10月まで65万円程度で推移していたが、11月下旬には16年4月以来となる70万円台に達した。利回り面で見れば17年4月頃と同等の2.9%程度となり、16年4月時点の24%程度と比較すれば過熱感はない。ただこれは冒頭に記載した通り投信の売り越しによる影響が及ぶ前の水準であり、割安感にも乏しい。

時価総額の大きい銘柄の利回りが低いため、時価総額をベースに算出される東証REIT指数が19年も18年と同様に大幅な上昇となることは考えられない。為替動向に左右されない投資商品として、J-REIT市場は、投資資金の「退避場所」としての役割を果たしている。ただ、投資家のリスクオフの動きが鮮明になった場合には、下落する可能性を視野に入れておく必要がありそうだ。

関大介
不動産証券化コンサルティング及び情報提供を行うアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2019年2月号の記事を再構成]

日経マネー 2019年2月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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