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私のリーダー論

外国人と同じ土俵で競い合え 物産社長の若手育成法 三井物産の安永竜夫社長(下)

2019/1/17

三井物産の安永竜夫社長

三井物産の安永竜夫社長は海外プラント建設などを数多く手掛け、手ごわい商談相手との交渉も重ねてきた。様々な価値観を持つ人々と接したことは、ダイバーシティー(多様性)を尊重する経営にもつながっている。次世代リーダーも国籍にこだわらず育てていくと話す。(前回の記事は「物産トップはジャングルガイド 安永社長が説く突破力」)

■タフだったイランでの交渉

――若い頃から海外の企業トップや政府の要人らと交渉で渡り合ってきたそうですね。

「幸か不幸か、30代半ばからずっとやってきました。交渉相手は私が責任者かどうか必ず見定めます。私が判断できなければ『メッセンジャーには用はない』と追い払われてしまいます。自分が判断したことは社内で覆らないと、まず伝えなければなりません。必ず私の判断で譲歩できる『ネゴ代(ねごしろ)』を持って交渉に臨んでいました」

――海外の仕事は商習慣の違いで、苦労が多かったのではないですか。

「外国の企業や官庁との仕事は交渉相手にスケジュールを委ねる必要があります。『あす来てくれ』と言われて飛んでいったら、向こうは準備不足で散々待たされるということがままあります。その都度、日本には帰れないので、現地に滞在しながら他の仕事をすることが多々ありました」

「例えば、イラン人は英米法の弁護士を信用しておらず、交渉に立ち会いを認めてくれませんでした。弁護士抜きで契約書に盛り込む約款を1行ずつ交渉しました。約款は通常、何が起きても対応できるように包括的な文面を盛り込みます。しかし、交渉相手のイラン人は猜疑(さいぎ)心が強く、ありとあらゆる個別の事態を想定して、1行ずつ文章に残すことを求められました」

「イラン人は時間の概念も異なり、どんな事態が起きても自分たちが守られるように契約をしっかりつくろうという姿勢がありました。その代わり、結んだ契約は絶対守るという信念も持っています。いちいち約款案を事務所に持ち帰るのは時間がかかるので、弁護士を別室に控えさせてチェックしてもらいました。大変骨の折れる交渉ですが、やり抜いたことは自信になりましたね」

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