2019/1/10

20代女性の体形は、戦後から90年ごろまでは身長が大きく伸びたが、体重の増加量は身長ほどではないため、結果として平均のBMIは終戦後の1950年の22よりも下がって20.9となっている(グラフ2)。

グラフ2 昭和25年(1950年)~平成14年国民栄養調査結果と、平成15~27年国民健康・栄養調査結果をもとに作成したもの。1974年は身体状況調査未実施。体重のデータから妊婦は除外してある。BMI数値は各年の平均身長と平均体重から求めた計算上の数値(データ:肥満研究:24,22-29、2018)(作図/平拓哉)

栄養不足は「なんとなく不調」美容トラブルの原因

こう聞くと、気になるのが自分のBMIだろう。あなたは自分の数値を知っているだろうか。まずは計算をしてみよう。

もし、あなたの身長が160cm(1.6m)で体重が45kgなら、体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)は45÷1.6÷1.6=17.57となり、BMIは17.57。この場合、BMI 18.5を下回っているから、「痩せ」となる。

あなたのBMIは?

体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)= BMI______

BMI 18.5未満:痩せ過ぎ。もう少し栄養とカロリーを摂取しよう
BMI 18.5以上~25未満:普通体形
BMI 25以上:肥満。摂取カロリーを減らし、運動などで消費エネルギーを増やそう

20年前に実施した平成20年(1998年)の国民・健康栄養調査で既に、20代の女性は細身の体形(平均BMI 20.7)にもかかわらず、「今より4.4kg痩せた体形が理想」だと答えている。この傾向は現在も変わっていない。痩せる必要がないのに痩せようとしている人や、本当は太ったほうがいいのに、食事制限をするなどして痩せる努力をしている人が多いかうかがえる。

では、BMI 18.5未満のような痩せ過ぎた体は、健康にどのような影響があるのだろう? 実は痩せ過ぎは「不調だらけ」な体調をもたらし、見た目に関してもトラブルの多い状態をつくり出す。

食べる量を必要以上に減らすと、体温は低めになり、疲れやすくなって、活力が落ちる、集中力が低下するなどの症状が起きることなどは、女性の痩せと代謝について考察した論文でも紹介されている(※1)。食べている量自体が少ないので、栄養が不足し、「筋肉や血液、髪や肌をなどの細胞をつくる材料も足りず、組織を円滑に回すための栄養源も不足する。その結果、髪やツメはもろく、ぼろぼろになり、艶もなく、肌色も悪く、カサカサと荒れたり、吹き出物が出やすくなってしまう」と話すのは、医療ガバナンス研究所研究員で内科医でもある山本佳奈医師。体重が減り過ぎると、月経が不順になったり、止まったりしてしまうことは、多くの研究結果が明らかにしている。

あなたも、無理にダイエットをしたときに、月経が不順になったり、体調が崩れたり、冷え性になったり、肌が荒れてしまった経験はないだろうか。これらの「なんとなく不調」は、栄養不足も原因の一つであることを知っていてほしい。

※1:肥満研究、24,11-15,2018

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若いのに筋肉スカスカ、生まれてくる赤ちゃんにも影響