恵まれていることに感謝する生き方が運
次の世代へのアドバイスはシンプルだ。「出世しようと思ったら、運をよくするしかない。いっぱい起きる現象の中から、よいツキをどんだけつかむか。恵まれていることを感謝するとか、人のためにとか、神様やお天道様が喜ぶような生き方が運ですよね。僕の場合は、欲をかけなかったら、一生懸命によいモノを売ろうとした」
企業が「ブラック」の冠をつけられて選別され、「働き方改革」が叫ばれる時代にあって、発言には古めかしさも漂う。それでも、仕事の苦労や厳しさが今より小さかったはずはない。「苦労して働くことは楽しいことではなかったのでは」との問いに即答した。
「いや楽しいですよ。一生懸命になったら、なんでも楽しい。あれ、なんでだったんじゃろ」。そう振り返って思い出したのは昔の自分の姿。「もうつらいと思ったら、荷の梱包のところに行くんです。ガシャッ、ガシャッと(ひもを機械でまきつける仕事を)やると、すごく気持ちがスーっとするんですよね。これも、これも売れてくと思えて」。思い浮かべてみて、ちょっといいシーンだなと思った。
(天野豊文)