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「日日是好日」自然と人生の機微淡々と 映画2018

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NIKKEI STYLE

2018年も多くの映画が日本で公開された。その中で強く心に残った映画はどれか。評論家が3作ずつ選んで紹介する。

村山匡一郎 不寛容、詩的に描く

(1)祈り
(テンギズ・アブラゼ監督)
(2)日日是好日
(大森立嗣監督)
(3)モアナ 南海の歓喜
(ロバート・フラハティ監督)

(1)はモノクロ画面で光と影による造形を際立たせつつ、ナレーションを通して民族や宗教の違いからくる不寛容を詩的に描き出す。今から半世紀前の作品とは思えない斬新な映像表現には驚かされる。

(2)は茶道に象徴された自然と人生の機微を淡々と描き出す。その趣を心と身体に染み込ませて成長する主人公の姿が清々(すがすが)しい。監督の新境地と思わせるさりげないタッチを通して心に染みわたる。

(3)も古い映画。ドキュメンタリー映画という言葉のきっかけになった無声映画だが、1980年に監督の娘が完成させたサウンド版である。20世紀初めのサモア諸島の豊かな自然と人々の姿を描いた美しい映像には魅了される。

白井佳夫 ヒトラー傾倒 庶民の声

(1)ゲッベルスと私
(クリスティアン・クレーネス、フロリアン・ヴァイゲンザマーほか監督)
(2)馬を放つ
(アクタン・アリム・クバト監督)
(3)チャーチル ノルマンディーの決断
(ジョナサン・テプリツキー監督)

(1)はヒトラーに抵抗した少数のドイツ市民のことではなくて、熱狂した大多数のドイツ市民の中の一人である、普通の老女の証言を記録しようとした映画として貴重。(2)は旧ソ連から独立した、騎馬民族であるキルギス人の伝統と自負を、監督自身が主演もして描いた骨太な人間ドラマ。(3)はスペクタクルとしての戦争をいっさい描かず、主役に特殊メイクなどもさせず、戦争を人間たちのドラマとしてみごとに描いてしまった、ユニークな作品。製作委員会方式で作られた、もっともらしい文芸映画風の作品や、骨太なテーマの主張を欠いたムード映画ばかりが全盛の日本映画には、少々食傷。今年は選出を見送らせていただきました。

宇田川幸洋 「見る」にのめり込むとは

(1)スティルライフオブメモリーズ
(矢崎仁司監督)
(2)ハード・コア
(山下敦弘監督)
(3)ミスミソウ
(内藤瑛亮監督)

今年は日本映画がおもしろかった。

(1)は、1980年代にデビューして以来、一貫した映画作家としての姿勢をくずしていない矢崎仁司監督が、絶好の題材とめぐり会って生まれた傑作。「見る」ことにのめりこむことの緊張感と美しさ。

(2)は、山下敦弘監督、向井康介脚本の名コンビが、デビュー以来一貫のテーマに、痛快な娯楽性を充填した傑作。

(3)は、ホラーでありながら西部劇のような復讐(ふくしゅう)ドラマの剛直さをもった、爽快ささえ感じる活劇。監督は内藤瑛亮。脚本=唯野未歩子のカムバックをよろこぶ。

外国映画は、「祈り」「山中傳奇」の旧作初劇場公開が印象にのこる。

渡辺祥子 予定調和とは一線

(1)スリー・ビルボード
(マーティン・マクドナー監督)
(2)日日是好日
(大森立嗣監督)
(3)ボヘミアン・ラプソディ
(ブライアン・シンガー監督)

ハリウッド女優たちの"Me Too"運動に共感の声を上げたフランシス・マクドーマンドが「カッコイイとはこれ」、と態度で示したようなヒロインを演じた(1)。予定調和の着地を求めないラストが感じさせる"自由"も最高だ。

(2)には過ぎゆく時が静かに刻まれ、落ち着いた雰囲気の中に女性の成長が丁寧に描かれていて、今年最も好きになった映画。予想外の大ヒットになったのがロック・バンド、クイーンのリード・ボーカル、フレディ・マーキュリーの音楽人生を描いた(3)。ドラマとしては物足りない面もあるがフレディ本人の歌声を使ったのがなんといっても魅力。音楽にはその曲に出合った時代を懐かしく甦(よみがえ)らせる力があることを実感させられた。

中条省平 文明の行く末に目

(1)レディ・プレイヤー1
(スティーブン・スピルバーグ監督)
(2)ジュピターズ・ムーン
(コーネル・ムンドルッツォ監督)
(3)万引き家族
(是枝裕和監督)

(1)70歳を越えたスピルバーグだが、最先端の仮想現実に挑んでいる。CGを活用し、ゲームに支配される未来を描く。その映画技術の高度な達成も凄(すご)いが、現代文明の不透明で危険な行く末を見つめる真摯なまなざしに打たれる。

(2)この映画もSF仕立てだが、CGにまったく頼らない特撮のスリルは、スピルバーグ作品をはるかに超えている。しかも、物語の中心にあるのは、難民であふれかえるヨーロッパの危機というハードな政治的主題なのだ。瞠目(どうもく)すべき才能の開花である。

(3)作品ごとに題材やタッチを変えて映画世界を広げてきた是枝監督。今回は「家族」という自分の最も本源的なテーマに返って、力を出し尽くした。まちがいなく今年の日本映画を代表する1本だ。

[日本経済新聞夕刊2018年12月28日付]

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