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「日経TEST」編集長が選ぶ 2019年注目の経済日程

2019/1/7

■米国経済は「後退」意識強まる年に、金融政策のかじ取りに不安

米国経済が成長しているのはひとえに、17年末に成立した大規模な減税と、歳出拡大の効果です。国際通貨基金(IMF)の18年10月公表の世界経済見通しでは、米国の18年の経済成長率見通しは2.9%とトランプ大統領が目標とする「3%」をほぼ達成。また米国は18年、失業率も49年ぶりの低い水準を更新しました。このまま続けば米国の景気回復は19年7月、過去最長となります。 

とはいえ永遠に続く景気はありません。成長率を高めすぎ、経済が過熱すると、物価上昇懸念が強まり、長期金利が上昇し、株価が下がり、景気後退が始まります。米国の中央銀行である連邦準備理事会(FRB)が15年12月から3年間、リーマン・ショック後にほぼゼロだった政策金利を2.25~2.5%まで引き上げてきたのはこのためです。

「中央銀行の仕事とは、パーティーが盛り上がりつつあるときに(カクテルの入った)パンチボウルを片付けることだ」というのは、よく引用される元FRB議長の言葉です。パーティーを続けたいトランプ大統領は「利上げ反対」を明言するなど、金融政策を強くけん制しました。金融政策にかつてほどの神通力はありませんが、かじ取り役を失えば、経済は迷走します。年末には大統領がFRB議長の解任を議論しているという報道が、クリスマスの株価急落の引き金になりました。

19年の米国経済はうまく運んでも、20年の「景気後退」が意識される年になります。翌年に大統領選挙を控える「任期3年目」は景気を下支えする政策がこれまでの政権でもとられがちでしたが、「議会」が壁となります。18年の中間選挙で、下院では野党の民主党が勝利した結果、19年1月の新議会からは、共和党多数の上院と、民主党多数の下院という「ねじれ」が生じます。

■「米中逆転阻止」を意識した貿易戦争、欧州では「ハードブレグジット」懸念

2018年12月、ブエノスアイレスで、中国の習近平国家主席(左端)との会談に臨むトランプ米大統領(右端)=AP

そして目が離せない、米中貿易戦争の行方です。米国は18年3月に中国の知的財産権侵害を理由とした制裁を打ち出し、7~9月に対中追加関税の第1~第3弾を発動しました。その背景には、中国が「中国製造2025」戦略でハイテク化を進めてこのまま成長すると、20年代にも国内総生産(GDP)の米中逆転が起きかねないという危機感があります。

中国製品に課している制裁関税を10%から25%に引き上げる追加関税の発動は、12月1日の米中首脳会談で、90日間の猶予が設けられました。しかし、交渉責任者に対中強硬派のライトハイザー通商代表部(USTR)代表が据えられたうえ、ファーウェイ(華為技術)の後継者と目される創業者の長女がカナダで逮捕された事件もあり、2月末までにまとまるのか、見通しにくくなっています。この期限後には中国の全国人民代表大会が3月上旬に開かれる日程が続きます。全人代を前に習近平国家主席は弱気を見せられない半面、決裂すれば政権に大きな打撃となります。

欧州では3月29日、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の期限が到来します。英国とEUがまとめた離脱の協定案は、20年末までの移行期間を盛り込んでいますが、発効に必要な英議会の承認のめどが立っていません。合意なしの離脱(ハードブレグジット)となると、大きな混乱が生じます。イタリアの財政、サウジアラビアの内政問題もリスク要因です。

■消費税だけではない日本経済のリスク、19年は円高?

日本経済については、リスクは消費税増税だけではありません。2019年3月期の企業業績はいぜん堅調、景気全体も19年1月まで拡大が続けば「戦後最長」を更新しますが、米国経済の好調と、堅調な中国経済が前提です。米中貿易戦争の米国経済へのマイナスの影響はこれから広がります。

さらに19年は円高が進む年になる可能性があります。18年の為替相場は「ドル一強」でしたが、19年は米国の利上げが一服し、経済も減速する中で、安全通貨として円が買われる「リスクオフ」の局面になりやすいと考えられます。日米物品貿易協定(TAG)交渉が1月下旬以降に予定されますが、米国側は円売り介入などを制限する「為替条項」も、交渉テーマにあげています。

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