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ハズキルーペ会長 次の展開はキッズ向けで新CMも

日経エンタテインメント!

2018/12/29

2018年のCM界で大きな話題を呼んだのがハズキルーペだ。豪華なキャストが商品名を連呼する映像のインパクトもさることながら、企業のトップが自らクリエイティブディレクターを務めているのも異例。Hazuki Companyの松村謙三会長にCM制作の舞台裏を聞いた。

武井咲が高級クラブのママにふんしたハズキルーペのCM

Hazuki Companyは、4月に渡辺謙と菊川怜が「ハズキルーペ」をプレゼンテーションするCM、9月に武井咲、小泉孝太郎、舘ひろしが出演する高級クラブを舞台にしたCMを開始。後者はCM総合研究所が発表するCM好感度ランキングの作品別で10月度の1位に輝いた。年間を通しても、銘柄別で前年度の528位から9位へと大躍進。大物俳優が商品名を連呼したり、商品をお尻で踏むといったインパクトの強い表現は大きな話題を呼び、ソフトバンクのCMに菊川が出演してパロディー化されるまでになった。

業界内のクリエイターからも高く評価された今年のハズキルーペのCMだが、実はキャスティングから衣装までの全てを考え、クリエイティブディレクターを務めているのがHazuki Companyの松村会長。松村会長いわく「素人」が作ったCMが、世の中を席巻したわけだ。なぜそれができたのか。

――ハズキルーペはどのようにして生まれたのでしょうか。

●2007年にタカラトミーさんから買収した企業がメガネ型拡大鏡を手がけていました。そのルーペを宝田明さんに番組で披露してもらったところ、いきなり売り上げが伸びたんです。それを見て、絶大なニーズがあるなと。デザインを一新して、レンズ設計も変えて、有名タレントを起用して大々的にマーケティングを展開すれば、何十倍も売れると確信しました。そこで、まず初期投資で40億円くらいかけて機械を入れ替え、最新鋭の自社工場に変えました。だからメイド・イン・ジャパン。そうやって2010年に立ち上げた自社ブランドがハズキルーペです。全自動化を進め、高品質のルーペを大量生産できる体制を整える一方で、年間100億円を超える広告宣伝費を投入して、ブランドを確立させようとしているところです。

渡辺謙が「世の中の文字は小さすぎて、読めない!」と資料を放り投げるハズキルーペのCM

――CMに起用されているのは、渡辺さんをはじめ大物ばかりですね。

●ブランド構築のためです。1万円の価値がある商品だと思ってもらうには、やはり一流の方々に「ハズキルーペすごい」「大好き」と言ってもらうのが、見る人の心に一番響く。大物を起用することでブランド価値を上げていきたいという意図は、初代キャラクターの石坂浩二さんのころから変わっていません。

――今年に入り、渡辺さんが出演して以降、反響は絶大です。松村会長が自らクリエイティブディレクターを務められてからのことですが、CMの何を変えたのでしょうか。

●ストレートに「商品を売るCM」に変えました。言っていることは「ハズキルーペ」という商品名と機能だけ。それ以外のセリフは全部そぎ落としました。ただ、押し売りになるといけないから、映像には映画のような芸術性を求めました。商品名を覚えてもらい、機能をちゃんと理解してもらう、しかも何回見ても映像は面白い。そういう作品をつくろうとしたのが、今のところはうまくいっているのかなと思います。

――渡辺さんをキャスティングした理由を教えてください。

●『SAYURI』という映画を見て、名優とほれ込んでいたからです。その映画では、京都の橋のたもとで女の子が鼻緒を切るんです。そこに通りがかった渡辺さん演じる会長が、女の子が困っているのを見つけて、かがんで鼻緒を結び直してやるのですが、その横顔の優しいこと。本当に愛情深い横顔でした。昔、勝新太郎が「役者は、横顔で演技できて初めて一流だ」と言ったそうです。ビジネスでも、正面の顔はニコニコしたり演技ができますが、ふとした横顔で「こいつ、腹は違うな」と分かったりします。横顔ってごまかしがきないんです。だから、その場面の渡辺さんの表情を見たとき、この人は横顔で優しさの表現ができる、本物の役者だと思いました。こんなすごい人に自分の会社のCMに出てもらえたらどんなに幸せだろうと、ずっと思っていました。実現できてうれしかったですね。

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