老舗の完全無線イヤホン対決 ゼンハイザー対オーテク「年の差30」最新AV機器探訪

小原 どちらもウイングで固定したり、耳に押し込んだりしないので最初は落ちそうで心配でしたが、使ってみると問題なかったですね。

小沼 意外と外れないものですよね。耳が痛くなることもなく、つけ心地は快適でした。

両機種ともにカナル型。耳にひっかける部分がないため不安になるが、外れることはなかった。オーディオテクニカの方が存在感がある印象だ

小原 それと、オーディオテクニカはペアリングがすごく安定していました。これまで様々な完全ワイヤレスイヤホンを使ってきましたが、断トツだと思います。

小沼 僕はペアリングについては、両機種ともに遜色ないと感じました。どちらもストレスを感じるようなことはなかったです。

小原 ゼンハイザーも安定していましたけどね。だけどやっぱり、オーディオテクニカの途切れにくさは印象的でした。テクニカは社内基準の厳しさから、完全ワイヤレスの商品化にとても慎重でした。開発途中のフィールドテストで得た知見や、メーカーとしての意地があるのではないでしょうか。外れにくい、途切れにくい、使っていて違和感がない。そんな基本的なところがきちんと満たされているのが、オーディオテクニカの優れた点だと思います。

再生、一時停止などの操作もできる。ゼンハイザーは銀色の部分がタッチセンサーになっており、オーディオテクニカは本体上部のボタンで操作する

個性ではなく音質で勝負する

小沼 続いてケースや、バッテリーなどの機能面を見ていきましょう。

小原 ケースはどちらも小さく、携帯性に優れていますね。

小沼 特にゼンハイザーのケースは小さいので、ポケットに入れても違和感がありませんでした。個人的には、このコンパクトさも魅力でした。

ケースの大きさを比較。オーディオテクニカのほうが長さと高さがあり、全体的に大きい印象

小原 ゼンハイザーのイヤホン自体は意外と大きいのにね。あと、ゼンハイザーはデザインが格好良い。他にはない質感で、指輪のケースのようです。

小沼 オーディオテクニカはデザインはシンプルですが、ケースと本体のバッテリーの残量がわかりやすいのは良いと思いました。

小原 小沼さんがいつも気にしているバッテリーの持続時間はどうなんですか。

小沼 オーディオテクニカは6時間、ケース併用で15時間。ゼンハイザーは4時間、ケース併用で12時間です。どちらも申し分ないですね。一方、防水機能はゼンハイザーが汗や雨に強いIPX4で、オーディオテクニカは特になし。ただ、ゼンハイザーも特別防水性能が優れているわけではありません。

小原 ノイズキャンセリング機能もないし、遮音性も普通ですよね。どちらも付加機能ではなく音質で勝負する、オーソドックスなイヤホンといえそうです。小沼さんはどちらが好きでしたか?

小沼 僕はやっぱりゼンハイザーですね。情報量が多く、広がりのある音が好みだったことに加え、デザイン面でも引かれました。小原さんは?

小原 僕はバランスの良いオーディオテクニカですね。これまではベストに音質に優れたJBLの「JBL FREE」を挙げていましたが(記事「完全無線イヤホン 音質か操作性か、世代で違うベスト」参照)、現時点ではこっちがナンバーワン。でも、ゼンハイザーもナンバーツーにしたいくらい、よくできた一台だったと思います。両社ともオーディオメーカーとして評価が高く、技術力のある老舗です。ヨーロッパのゼンハイザー、日本のオーディオテクニカということで、意味のある比較だったと思います。

◇ ◇ ◇

小原さんに「今回はレベルが高い」と言わしめた、オーディオテクニカとゼンハイザー。両機種とも音質、ペアリングの途切れにくさなど、完全ワイヤレスイヤホンに求められる基本的な要素を十二分に満たしており、それが何よりの魅力となっていた。

ソニーやJBLのように、すでに第二世代の完全ワイヤレスイヤホンを発売するメーカーも出てきている。第二世代のイヤホンは、スポーツ対応など個性を打ち出したものが目立つ。ラインアップの多様化が進む中でも、高級路線のイヤホンは一定の存在感を示すことになりそうだ。

小原さんと小沼さん
小原由夫
1964年生まれのオーディオ・ビジュアル評論家。自宅の30畳の視聴室に200インチのスクリーンを設置する一方で、6000枚以上のレコードを所持、アナログオーディオ再生にもこだわる。2018年のベストアルバムはキングクリムゾンの『メルトダウン~ライヴ・イン・メキシコ』。
小沼理
1992年生まれのライター・編集者。最近はSpotifyのプレイリストで新しい音楽を探し、Apple Musicで気に入ったアーティストを聴く二刀流。18年のベストアルバムは七尾旅人の『Stray Dogs』。

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(写真 渡辺慎一郎=スタジオキャスパー)

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