目の疲労度10問で点検 眠って取れないなら眼精疲労も
オフィスでのパソコン作業に加え、行き帰りの電車でもスマートフォン(スマホ)とにらめっこ。寝る直前までスマホを操作して……という人は多いのではないでしょうか。電子機器の普及により、昔に比べて私たちの目には多くの負担がかかっています。目の乾きや目の奥の重み、頭痛や肩凝りは、慢性的な目の疲れが原因になっていることも少なくありません。
まずは今のあなたの「目の疲れ具合」をチェック
眼精疲労治療に力を入れている「吉祥寺森岡眼科」の院長・森岡清史さんによると、パソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル機器が普及して、疲れ目や眼精疲労に悩まされる人が増えているそうです。実際、「私の目、とても疲れている」と実感する人も多いのではないでしょうか。
まずは、今のあなたの目の疲れ具合をチェックしてみましょう。
□ 夕方になると、遠くがぼやけて見える
□ まぶたが重い感じがする
□ 目が乾燥しがちで、目薬が手放せない
□ 屋外でまぶしいと感じる
□ 夜思うように眠れず、イライラする
□ 常に首や肩が凝っている
□ まぶたがよくけいれんする
□ 近視が進んだようだ
□ 目の奥が痛む、あるいは頭痛がする
当てはまる項目はいくつありますか。項目の数が分かったら、結果を確認してみましょう。
「疲れ目度」は小。大丈夫。目はあまり疲れていません。
当てはまった項目が2~6個の人
「疲れ目度」は中。目はやや疲れ気味です。早めにケアして疲れ目を解消しましょう。
当てはまった項目が7~10個の人
「疲れ目度」は大。かなり目が疲れているので、早急な対応が必要。眼精疲労の専門医を受診して治療を受けましょう。
「ちゃんと寝たのに目が疲れる」それは、眼精疲労?
「目が乾く」「ショボショボする」などの疲れ目の症状を感じること、ありますよね。軽い疲れ目の段階なら一晩ぐっすり寝れば治るものですが、朝になっても疲れが取れない場合は、疲労が蓄積された「眼精疲労」に進行している可能性があります。
「『たかが疲れ目』と特にケアをせずにそのままの生活を続けていると、目の負担が解消されずに疲労が蓄積されていきます。そのままにしておくと、頭痛、肩凝り、イライラ、集中力の低下、不眠、軽いうつ状態など、複合的な症状も出てくる『眼精疲労』の状態に進行します。『眼精疲労』まで進むと、なかなかセルフケアでは治りにくいこともあるので、早めの段階でケアすることが大切です」(森岡さん)
原因不明の頭痛に悩まされ、内科や脳外科などを受診したものの異常が認められず、最終的に眼精疲労の治療をしたら頭痛が解消されたという患者さんも少なくないそうです。目周りの筋肉疲労が目の奥に伝われば目の奥の痛みに、脳に放散すれば頭痛が起きます。
目を酷使することによって、さまざまな部分に不快な症状が出てしまうのです。
パソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル機器を使うと目が疲れやすいのはなぜでしょうか。森岡さんによると、デジタル機器には疲れ目を進行させる条件がそろっているそうです。
目が疲れるのは「近距離・過剰な光・長時間作業」
「まずは液晶ディスプレーの光。皆さんが普段見ている画面は、実は明る過ぎるケースが多いのです。余分な光によって目が疲れやすくなります。例えば、同じサイズの本と電子書籍の明るさを比較してみてください。電子書籍のほうが明るいですが、目の負担を大きく感じるでしょう。さらに、近距離を見続けることで、毛様体筋というピントを調節する筋肉が緊張して疲れ目が起こります」
人が物を見る時は、水晶体の厚みを調節することでピントを合わせています。水晶体の厚みの調整に関わるのが「毛様体筋」という筋肉。近くを見る時は、毛様体筋は緊張した状態になり水晶体を膨らませます。
逆に遠くを見る時は、毛様体筋は弛緩(しかん)して水晶体が薄くなります。PCやスマホを長時間見続けると、毛様体筋の緊張状態が続くため、筋肉が疲弊して疲れ目が起こるのです。また、視点が1点に集中するのでまばたきが減り、ドライアイも進行しやすくなります。
デジタル機器には、まさに目が疲れる条件がそろっていたのです。
眼精疲労によって無自覚のまま視力低下が進行?
眼精疲労によって、実は視力が低下しているケースもあります。例えば、視力が1.0の人が、眼精疲労によって慢性的に0.8くらいの視力しか出ていないということも。
頭痛や目の奥の痛みといった、眼精疲労を自覚するような症状がなくても、長時間のパソコンやスマホ使用が日常的になっている人は、目の疲れを解消することで視力アップが見込めることもあります。
医学博士。吉祥寺森岡眼科院長。浜松医科大学医学部卒業後、東京大学大学院医学系研究科にて網膜色素上皮細胞の研究に従事。東京医科大学、田無第一病院眼科医長を経て、吉祥寺森岡眼科を開設。眼精疲労治療室を併設し、東洋医学を取り入れた専門的な治療にあたる。著書に「眼精疲労はまかせなさい!」(現代書林)、「1日3回ツボを押すだけで目はすぐよくなる!」(KADOKAWA)など多数。
(ライター 中島夕子)
[nikkei WOMAN Online 2018年10月4日付記事を再構成]
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