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毛は剃ったら濃くなる? 人体にまつわる3つの迷信

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/1/9

ナショナルジオグラフィック日本版

毛を剃っても、太さや色や伸びる速さは変わらない(PHOTOAC)

人体の詳しいメカニズムはわかっているようで、意外にわかっていない。身近であるが故に、かえって思い込みが入り込む余地が大きいのかもしれない。人体にまつわる迷信は、数多く現れては否定されてきた。ここではナショナル ジオグラフィックの別冊『科学の迷信 世界を惑わせた思い込みの真相』から、人体に関する迷信を紹介する。

■毛は剃ったら濃くなる?

「顔や体の毛を剃ると毛深くなる」という話を聞いたことがあるかもしれない。だが、そんなことはない。発毛をコントロールする「毛包」があるのは肌の下。どんなに剃っても、毛包が影響を受けることはないからだ。

考えてみてほしい。定期的に脚の毛を剃っている女性もいるが、ゴリラのように毛深くなったという話はきかないし、はげかかった男性がしょっちゅう頭をそって、それで毛包がよみがえったという人もいない。顔や体のどこかを頻繁に剃ることで、そこに生える毛の太さ、硬さ、量に影響があるという研究発表もない。

では、なぜこの話はいつまでたってもなくならないのだろうか。そこが人間の心理の微妙なところだ。自然に伸びた毛は先にいくにしたがって細くなるが、剃ったばかりの毛は切り口がボツボツとして太く感じる。また、ひげを剃るまで隠れていた肌は、日に焼けておらず白く見えるため、生えてきたひげがよけいに目立つのかもしれない。それを見て、剃ったから太い毛が生えてきたのだと思い込み、この話を否定する情報が出てきても耳を貸さない。反証する情報を無視する「確証バイアス」という心理によるものだ。

「剃ったら濃くなってほしい」という気持ちも、一役買っているのかもしれない。年頃の男の子は人並みにひげを生やしてみたいと思うが、自然の生物学的プロセスを早めることはできない。だから親や友人が不用意に口にした話を信じてしまう。この迷信にしがみつく理由が、期待からだとしても、心配からだとしても、メイヨー・クリニックの皮膚科医ローレンス・ギブソンの次の言葉を忘れてはいけない。

「剃ったところで、毛の太さや色や伸びる速さが変わることはありません」

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