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キャリアコラム

課題先進国ニッポンに好機 星野リゾート代表の使命感 星野リゾートの星野佳路代表に聞く

2019/1/1

トップの役割はどう考えているのか。「人間には得意、不得意があり、苦手な分野は部下に任せる」という。そのうえで、トップにしかできない役目として、2つを挙げる。一つは先述したフラットな組織文化を維持すること。もう一つは「事業など、やめることを決める」ことだ。

社員は基本的にまじめであり、「効果のないことは誰もやっていない」。しかし、優先順位を付ければ、おのずと撤退すべき事業やサービスは明らかになる。「社員が顧客のクレームを避けたいと思うのは当然。犠牲や副作用を伴っても、やめる決断はトップにしかできない」。時代の変化に合わせ、新たな業態を生み出してきた星野氏だからこそ、やめる決断の重要性を説くのだろう。

■観光産業への期待は大きい

現在ほど観光産業への期待が大きい時代はない

経営者として、日本が抱える課題とどう向き合うか。「衰退する地方にはポテンシャルがないと考えるか、観光業として何ができるかと考えるか。私は地方にチャンスを見いだすことが使命だと信じ、ずっと追求してきた」。星野氏は言い切る。

地域を元気にする経営理念は成果を生み出しつつある。同社には自治体から「町おこし」の協業の依頼が相次いでいるからだ。山口県長門市とは、長門湯本温泉に高級温泉旅館「界」を開業するだけでなく、温泉街全体の活性化に向けた取り組みを進める。また、宇治茶の産地として知られる京都府和束町とも、茶畑の美しい景観や茶問屋が並ぶ古い街並みを生かした観光客の誘致策を探る。

集客力の高い同社のホテルや旅館の進出に、懸念を持つ自治体や地元の業界団体もある。「何がその地域にとって最善なのか、きちんと議論しながら進めることを心掛けてきた」。星野氏は語る。

かつて地域活性化といえば工場誘致が中心だったが、いまは「観光誘致」が取って代わろうとしている。「父や祖父の時代、レジャーは産業として低く見られ、温泉は『水商売』といわれた。今とは隔世の感がある」

1914年、星野温泉旅館として創業した同社は今年で創業105年。「私は4代目だが、これだけ観光産業が期待される時代はなかったのではないか」。あらためて使命感と情熱をもって事業に取り組みたいと力を込めた。

星野佳路
1960年長野県生まれ。83年慶応義塾大学経済学部卒。米コーネル大学ホテル経営大学院を修了し、91年から星野温泉(現星野リゾート)代表。

(村上憲一)

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