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キャリアコラム

課題先進国ニッポンに好機 星野リゾート代表の使命感 星野リゾートの星野佳路代表に聞く

2019/1/1

マルチタスクは一人が接客や清掃、配膳など複数の業務を担うこと。代表就任当初は人が集まらず、必要に迫られて始めた。仕事を待つ時間を減らし、生産性を高める狙いもあるが、それだけではない。より重要なのは「社員が働くことを楽しいと感じ、意欲を持ってもらう」ことだ。

■「エラい人信号」を出さない

社員にとって面白い仕事とは経営に参画すること

複数の業務を担うことで、社員は施設全体のオペレーションを考え、改善点を見つけやすくなる。スキルも早く身に付き、ホテルの総支配人など重要な仕事を任される時期も早まる。「最も面白い仕事とは、経営に参画すること」。若いうちから経営を意識してもらうことで、人材の定着を図ってきた。

もう一つのフラットな組織とは、階層の少なさではなく、人間関係のフラットさを指す。星野氏は大学を卒業後、ホテル経営学の最高峰とされる米コーネル大学ホテル経営大学院に留学。そこで学んだ経営学者ケン・ブランチャード氏のリーダーシップ論に大きく感化されたという。メンバーとの人間関係やビジョンの共有を重視する考え方だ。

具体的に実行したのは、まず経営情報の共有。施設ごとの顧客アンケートの数字はもちろん、収益情報も月1回共有する。また、言いたいことを言い合える環境づくりにも気を配る。役職ではなく、「さん」付けで呼ぶのもその一つ。さらに星野氏も総支配人も専用の部屋や机を持たず、一般の社員と同じ部屋で仕事をする。「専用部屋を持つことは私にとって最大の『エラい人信号』の発信だからやめた」と語る。

幹部への登用の仕方もユニークだ。人事部や役員が相談して決めるのが一般的だが、同社では公募制で、しかも本人によるプレゼンテーションを社員が評価して決める。「上司の偏見を排し、公正を期す」ためだ。プレゼンの機会は年2回。毎年、60~80人ほどが総支配人やユニットディレクターなどに立候補し、意欲や実績をアピールする。年次や性別、国籍は関係ない。「直近まで部下だった人間が総支配人に就くといった逆転人事もある」という。

性別は無関係とはいえ、女性にとって出産や育児と仕事の両立は難しい。同社の社員のうち女性は6割を占めており、ライフステージの変化に合わせて、柔軟に仕事を選べる配慮もしている。例えば、18年に運営を始めた都市観光ホテル「OMO(おも)」の第1号の施設の総支配人は3回産休を取って復帰した女性だ。

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