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食の達人コラム

味も見た目も一変 覚えておくべき和食の塩使い 魅惑のソルトワールド(25)

2019/1/11

和食の味付けの基本は「さしすせそ」=PIXTA

また、塩を入れるタイミングによって、食感に影響が出てくる。例えば魚のすり身で団子を作る時、塩を最初の段階から入れることで、身を構成するたんぱく質が溶けてくっつくことで粘り気がでてくる。これがふっくらもちもちした食感のある団子を作りだす。もし塩を最後のほうに入れると、たんぱく質の結合が起こらないため、ぼそぼそ、ごろごろとした食感の団子ができあがる。野菜をいためる場合などは、先に入れてしまうと食材から水分が出てきてべちゃっとした仕上がりになってしまうため、最後にいれるのがよい。

和食の味付けの中心はいわゆる「さしすせそ(砂糖・塩・酢・しょうゆ・味噌)」と酒、だしなどが挙げられるが、しょうゆが一般家庭に広く普及して使われるようになったのは江戸時代中期以降のことで、それまではあくまでも塩が味付けの中心をになってきた。

かつて、徳川家康が「世の中で一番うまいものはなにか」と家臣に尋ねた際に、「それは塩でございます。食べ物の味を調えるもの、それが塩です」と答え、さらに、「ではこの世で一番まずいものはなにか」と尋ねられると、「それも塩でございます。どんなにおいしいものでも塩が勝てば食べられません」と答えたという逸話がある。

また、「いい塩梅(あんばい)」という言葉が「ちょうどよいさま」を示す言葉として現在にも伝わっているように、塩の加減が調理においてどれほどまでに重要だったかということが推しはかられる。ほかにも、「通常はぴんと元気な青菜が、塩をふりかけると脱水してしんなりとしてしまう=人が打ちひしがれてうなだれているさま」を表すことわざとして「青菜に塩」があるように、調理における塩はずっと昔から私たちの身近にあったのである。

和食の塩使いは一見面倒くさいようにも感じるかもしれないが、非常にシンプルでもある。一度覚えてしまえば、ぐっと料理の出来上がりがよくなるので、ぜひチャレンジしてみてほしい。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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