贈り物と家飲みの日本ワイン 専門店が提案する10本
日本ワインを自宅で飲みたくても、扱っている店がまだ少なく、品ぞろえのいい酒販店を選ぶ必要がある。千葉や東京・銀座にある「いまでや」は、約80社の日本ワインを常にそろえ、ファンから厚い信頼を寄せられている。営業戦略室チーフでワインアドバイザーの白土暁子さんは、少なくとも月に1~2度は日本全国のワイナリーを訪れ、生産者からさまざまな話を聞き、消費者に伝えることを楽しみながら実践中。その白土さんに、ワインの選びのコツを教えてもらった。
ワイナリーの物語も一緒に楽しみたい
まずギフトにする場合。相手の好みが分からなければ、相手の出身地のワインを選ぶ方法がある。
「最近は日本全国で良質なワインが造られています。自分の出身地にこんなワイナリーがあったのかと、喜ばれるに違いありません」
購入の際には、「気になるワイナリーのストーリーを店のスタッフに聞く」ことも実践したい。
「ワインをお好きな人は、ワイナリーが紡いできた物語にも興味を抱くことが多い。ストーリーを添えて贈るといいでしょう。例えば、栃木のココ・ファームは特別支援学級の生徒が開墾した斜面の畑でブドウを栽培し、知的障害者の各分野のスペシャリストが醸造に携っています。そうした背景を知ると、ワインがより身近に感じられます。ワイナリーのある土地柄やオーナー、醸造技術などについてもスタッフから話を聞き、ワインを渡すときに説明を添えると、その魅力が増します」。
さらに、ワインに詳しい人に日本ワインを贈る際には、「珍しい品種のワインを選ぶ」作戦もある。
「今回ご紹介した丹波ワインのサペラヴィ種は、ジョージア土着のブドウ品種で、他のワイン生産国で供給されることはほとんどありません。また、大分の安心院葡萄酒工房でもピノタージュ種を使った赤ワインを発売していますが、この品種も本来南アフリカで栽培されるもの。その、国内での栽培に成功しました。海外のワインが好きという方には、こういう希少品種のワインは喜んでもらえることが多いです」
※ワイン評下のデータは(1)価格、(2)主なブドウ品種、(3)アルコール度数
家飲み用ワインは、品種と料理の相性を知って選ぼう
家飲み用のワイン選びでは、どんな点に気を付ければいいだろうか。日本ワインはリーズナブルなものが多い。造りに安定感があり、値段の割に良質なものを醸しているワイナリーの情報を、普段から集めておくといいだろう。
ブドウの品種ごとの、料理との相性についても押さえておきたい。
「日本料理に使う醤油、味噌、だしは、海外産の果実味の強いミネラル豊富なワインとの相性はあまりよくありません。一方、日本ワインは香りが穏やかで繊細なため、総体的に日本料理によく合います。そのなかでも品種によって違いはあるので、覚えておくと便利です」
日本古来のブドウ品種マスカット・ベーリーAは、生の赤身・青身の魚から赤身の肉料理まで幅広く合う。同じく古来種の甲州は野菜や鶏肉、調味料では塩とマッチする。日本で栽培されたヨーロッパ原種でも、メルロのように濃い味の品種なら焼き肉や煮込み料理との相性がいい。ソーヴィニヨン・ブランのような香りのあるものはエスニック料理と合わせるといい。
また、同じ品種のブドウでも、日本国内の栽培地や、ワイナリーにより味わいが異なる。店のスタッフから、それぞれに合う料理を教えてもらうのも買い方のコツだ。
*ワインの価格はすべて税込み。いまでや銀座店での販売価格。
(ライター 金丸裕子)
[日経おとなのOFF 2018年12月号記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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