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アスリート 私のとっておき

釣りもレースも勝負は一瞬 男子100m走の山県さん

2019/1/7

合宿でも練習の合間に魚釣りに出かける(2018年2月、沖縄県で)

陸上男子100メートルで日本歴代2位の記録を持つ山県亮太さん(26)。0秒01の差で勝負がつく陸上短距離とは対照的に、オフの時間は海でのんびりと釣り糸を垂らす。それでも魚がかかったさおを引き上げる反応は素早く、スプリンターの面目躍如といったところ。獲物はその場でさばいて刺し身で食べる。瀬戸内生まれだけに、新鮮でおいしい魚には目がない。

広島市の実家から瀬戸内海はすぐ。山県さんにとって、幼いころから釣りは日常の一部だった。

「もともと父親が釣り好きで、週に一回魚を釣って帰って来ていた。それを家族で食べるのが我が家の習慣でしたね。たまに船釣りに連れて行ってもらうのが楽しかった記憶があります」

18年8月のアジア大会では陸上男子100メートルで銅メダルを獲得した(左から3人目が山県さん)

故郷を離れ、慶大に入ってからは寮生活。趣味として釣りにはまったのは、社会人になって一人暮らしを始めたのがきっかけだ。

「自炊をして魚がまずいと思ったんですよ。スーパーで買った魚がおいしくない。そんなとき、ふと『あのとき、オヤジが釣ってきた魚はうまかったな』と思い出した。新鮮な魚が食べたい、と。だったら自分で釣るしかない」

釣りに行くのは、もっぱら冬のオフシーズン。1年間戦い抜いたご褒美のようなものだ。秋が深まってくると、眠っていた気持ちが沸き立ってくる。オフに実施する合宿に、釣りができる場所を選ぶことも。海は広く、外国でも釣りざお一本あれば「漁場」となる。

「オーストラリアのゴールドコーストで合宿したときは、ほぼ毎日、毎朝、毎晩、さおを持って海へと向かいました」。トレーニング一色となる合宿で、釣りはモチベーションを上げてくれる。「オンとオフの切り替え、リラックスできるものがあるのは大きいですよね」

■その場でさばいて刺し身パクリ

競技生活がいつも順風満帆というわけではない。特に2017年は春に右足首を痛めて、苦しいシーズンとなった。その年の夏は、ロンドンであった世界選手権の代表にもなれなかった。

「気を紛らわすため春は釣りに行ったし、夏も釣りができる北海道の網走で合宿をしました。ちょうどカレイのシーズンで、メバルとかソイもめちゃめちゃ釣れました。魚種を選ばないから、一投で一匹、時間にして数秒です」

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