日本のBtoBは10年遅れ マーケティング会社の目線シンフォニーマーケティング社長 庭山一郎氏

「かつては米国でも、この4つを異なる部署がばらばらに手がけていました。ところが、1990年代後半に4つを1つの組織・予算で手がける『デマンドジェネレーション』という動きが起き、マーケティングが飛躍的に進化したのです。でも、問題もありました。マーケターの視点と価値観で絞り込んだデータを営業側が嫌い、顧客へのアプローチや商談のフィードバックがおろそかになるといった問題が起きたのです」

マーケティング、営業の目線に変える

「こうした問題への反省もあり、ABMは営業目線を徹底しています。たとえば、インターネット広告を出したとき、マーケターはどのくらいクリックされたかの『CTR(クリック率)』という指標を重視します。でも営業にとっては、率はどうでもいい。クリックした人の会社や部署、役職といった具体的な情報が重要なんです。ABMでは、ある会社の人のデータが200人分あるとしたら部署や役職の分布までつかみたい。そういう多様で大量のデータを点数化、定量化して分析するからこそ、顧客の『有望度』をはじき出せるのです」

――ABMで成功しているクライアントは?

NECはイベントも活用したマーケティングが評価され、BtoBマーケティングの優良企業を表彰する「マーキーアワード」(オラクル主催)で日本企業で初めてファイナリストに選出された=庭山一郎氏提供

「NECは、IMC本部というマーケティングの組織を設けています。そこで各種のイベントや会員制ビジネス情報サイト、メールマガジンなどの制作・管理を統合し、各事業部の営業にフィードバックしています。事業部ごとの営業を統合的な法人営業に切り替えるとともに、デジタルで強力に支援する体制をつくったのです。イベントの来場者の属性なども分析し、『こう変えたらこういう人が来る』という提案もしています」

――クライアントは他にも?

「自動車向けなどの高度な電子部品の検査機器を扱う菊水電子工業では、海外市場の開拓に利用しています。グローバルデマンドセンターという組織をつくり、MA(マーケティングオートメーション)の仕組みを使って、顧客データを取得・整理します。英語と中国語で、それぞれメールマガジンやサイトをつくり、潜在顧客との対話の結果を点数化して絞り込み、案件を発掘しています」

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