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アスリートを支える

働きたいアスリート、我が社へ 仲介ビジネスが活況

2019/1/17 日経産業新聞

オトバンクの陸上競技部は就業前後の時間を練習にあてている(写真右が須河沙央理さん)

現役アスリートの雇用を支援するサービスが広がっている。就職情報大手のマイナビは、企業と選手を引き合わせる人材紹介事業に参入した。人手不足が深刻な中で企業は人材を確保できるほか、選手を応援することによる社内の一体感の醸成やコミュニケーション活性化を期待できる。アスリートが仕事と両立できる環境が整えば、スポーツ振興にも寄与しそうだ。

マイナビは「アスリートキャリア」という名称で、有料職業紹介事業を始めた。働きたいアスリートに専用サイトに登録してもらい、採用を希望する企業とマッチングする。正社員か契約社員としての雇用で、勤務形態や競技活動費への補助など両者の条件を取りまとめたうえで就職を支援する。

登録した選手には職業適性などを調べる検査を事前に受けてもらう。職場見学や就業体験なども実施してミスマッチがないように努める。ビジネスに必要な心構えや作法など研修も実施し、19年9月までに100人の雇用を目指す。競技を引退した人も登録可能だ。

競技者としてのキャリアと仕事を両立させることは「デュアルキャリア」と呼ばれ、引退後の「セカンドキャリア」と並んで注目が集まる。

プロになれたり実業団に入れたりするのは、人気スポーツの一部のトップ選手のみ。それ以外のアスリートが競技とは無関係の会社勤めをしながら、練習に必要な時間を確保することは難しい。トップ選手向けには日本オリンピック委員会(JOC)の就職支援事業「アスナビ」もあるが、それ以外の人材をサポートする仕組みはこれまで少なかった。

自身もプロゴルファーで、引退後にマイナビに入社した松岡勇作さんが今回の新規事業の発起人だ。「仕事と競技を両立させる新たな選択肢を提供したい」という。

スポーツ人材の採用支援を手掛けるスポーツフィールド(東京・新宿)も現役アスリート向けに、仕事との両立を目的とした派遣事業を始めた。パソナはサッカーなどクラブチームと提携し、就業を支援している。

現役アスリートの雇用に積極的なスタートアップ企業も出てきた。音声コンテンツ制作・配信のオトバンク(東京・文京)は陸上競技部を創設した。部員は3人で、監督兼トレーナーもいる。

18年12月の「第4回さいたま国際マラソン」で13位だった須河沙央理さんも部員の1人。実業団の選手だったが、けがで競技の継続を諦めかけていた。それでも同社に入ることで、営業事務の正社員の仕事と競技を両立できている。

久保田裕也社長は「アスリートが普通に働きながら競技を続けるスタイルもあってよいのではないか」と話す。アスリートと企業、スポーツ・産業界すべてにメリットがある取り組みとして、就職支援の枠組みは今後さらに広がりそうだ。

(井上孝之)

[日経産業新聞2018年12月26日付を再構成]

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