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認知症対策に「家族信託」 本人に代わり財産を管理 相続税対策も

2018/12/30

 パパが亡くなったらどうなるの?

幸子 受益者としてのパパの地位を継ぐ「第2受益者」を指定しておくことが多いわ。例えばパパに代わってママが受益者となって契約が続くわけね。この場合、財産の名義は恵であっても、そこから利益を受け取る受益者はママだから、相続税はママが納めるの。

良男 委託者は?

幸子 委託者の地位を受益者とセットで動かす契約にしておけば、ママが新しい委託者になってママの財産を追加できるようになるの。一方、相続で委託者が増えると権利関係が複雑になってしまうので、委託者の地位は相続されないと決めておくのも選択肢の一つね。

良男 検討すべきことが多いね。どこに相談すればいいのかな。費用も気になるな。

幸子 一部の弁護士、司法書士、税理士らが相談に乗っているわ。コンサルティング料の相場の目安は信託財産の1%前後。このほか、契約書を公正証書にするのに数万円かかるの。信託の不動産登記には、土地は固定資産税評価額の0.3%、建物は同0.4%の登録免許税と、司法書士の報酬が数万円かかるわ。安くはないけど、自宅を売って老人ホームの費用をまかないたい人や積極的な相続税対策をしたい人の潜在ニーズは大きいようね。

■「信託口」口座が最善
司法書士 酒井俊行さん
家族信託でお金を信託する場合、原則として金融機関に「信託口」と呼ばれる口座を開いて管理します。口座名義は「委託者A 受託者B 信託口」などと表記され、受託者のBが預金通帳を持ってお金の出し入れをします。信託財産をB個人の財産と明確に区分するうえで最善の専用口座です。金融機関の対応はまだ十分ではありませんが、一部の信託銀行や地方銀行などが開設に応じています。
信託口の口座が開けない場合、受託者Bの名義で口座を開き、その口座のお金が信託財産であることを信託契約書に明記します。税務署に「AからBへの贈与ではない」と説明するためです。ただし金融機関はB個人の口座として扱うので、Bが亡くなってお金が引き出せなかったり、差し押さえられたりするリスクがあります。
(聞き手は表悟志)

[日本経済新聞夕刊2018年12月26日付]

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