週末レシピ 「七草がゆ」からアレンジ、イタリア風も
お正月休み、いかがお過ごしですか? 今年は4日から出社という方もいらっしゃるようですね。年末年始の宴会でつい食べ過ぎてしまったり、不規則な生活や寒さで風邪をひいてしまったり。この時期、体調を崩されている方も少なくないのではないでしょうか?子供のころ、熱を出すと母がよく熱々のおかゆを作ってくれたものでした。おかゆがおふくろの味という人もいるかもしれませんね。今年も1月7日の「七草がゆ」の日が近づいています。今回はおかゆのレシピをご紹介しましょう。
日本ではおかゆは一般家庭や病院で食べられるのが主流ですが、アジア各国を旅してみると、朝や深夜におかゆが食べられる食堂や屋台を見かけることがあります。私がよく行くタイでは、お酒を飲んだ後にシメのおかゆが楽しまれています。もちろん、日本のように麺類でシメることも多いようですが、飲んだ後のおかゆは胃にやさしく、じんわりと体に染み込んでいく感覚が格別ですよね。
この機会に基本のおかゆの作り方をマスターし、アレンジおかゆにも挑戦してみましょう。今回は定番の和風おかゆだけでなく、台湾風、韓国風、イタリア風へのアレンジもお届けいたします。
まずは基本の「白がゆ」の作り方をご紹介。
<材料 茶わん3~4杯分>
コメ 2分の1カップ / 水 600ミリリットル
(1)コメを洗ってザルにあけます
(2)水で流して湿らせた土鍋にコメと水を入れてふたをします
*いきなり土鍋にコメと水を入れて火にかけると土鍋にひびが入ったり、割れる可能性があります。土鍋はかならず水で表面を湿らせてから使いましょう
*その際に、土鍋の外側の底は濡らさないようにしてください。こちらもひびや割れの原因になります
(3)強めの中火にかけて、沸騰したら少しふたをずらして弱火で20分加熱します
(4)おかゆが炊けたらお好みの量の塩を加えて味を調えます
*合わせる具材の塩分も考慮して、少し薄味で仕上げるのがベター
まずは定番の梅干しと浅漬けを組み合わせてみました。浅漬けはさまざまな野菜を薄切りにして、全重量の約1%に当たる塩で軽くもみます。お好みで輪切りのトウガラシやこの時期が旬のユズの千切りを加えてもおいしいです。
今回はカブの浅漬けにしてみました。ビニール袋に材料を入れて、その上からもみこんでしばらく置くだけ。簡単で手軽な方法ですので、ぜひお試しください。
次は、うま味が濃厚な黄身じょうゆで味わう和スタイルです。ちょっと変わったおかゆのお供としてお勧めです。卵黄1個に対して、しょうゆ大さじ1をふりかけて1晩置くだけ。小さめで、高さがある容器に入れて、黄身にしっかりしょうゆが浸るように作るのがポイントです。黄身がねっとりして、しょうゆの塩分を含み、ワンランクアップした絶品おかゆになります。
ここからは和風のおかゆではなく、世界各国のおかゆアレンジをご紹介しましょう。
豚そぼろやザーサイをのせた台湾風おかゆです。これは基本のおかゆの上に、豚肉のそぼろ、粗みじん切りにしたザーサイ、千切りショウガ、青ネギの小口切り、パクチーをのせます。ショウガやパクチーの風味がアクセントになって、止まらないおいしさです。
<材料>
ゴマ油 小さじ1 / 豚ひき肉 150グラム / ネギの粗みじん切り ネギ5センチ分 / トウバンジャン 小さじ2分の1 / テンメンジャンまたはみそ 大さじ2分の1
(1)フライパンにゴマ油小さじ1を中火で温め、豚ひき肉、ネギ、トウバンジャンの順に加えていためます
(2)最後にテンメンジャンを加えてよくからめます。水分が足りない場合は少量の水を加えてください
*作り置きをしておけば、おにぎりの具などにしてもおいしい豚そぼろです
次はナムルやキムチをのせた韓国風おかゆです。モヤシのナムルや市販のキムチ、コチュジャン、カイワレダイコンをのせ、最後に白ゴマをふりかけてでき上がり。モヤシのナムルは市販のものを使ってもいいのですが、自分で作る場合は、ゆでたモヤシに塩とゴマ油を適量かけてあえるだけ。お好みでニンニクのすりおろしを加えてもおいしいです。
具材をのせるだけであっという間に作ることができます。味のポイントはコチュジャン。おかゆと混ざり合うことで、全体にうま味を補ってくれる役割を果たしています。
さて、チーズを使ったイタリア風おかゆはいかがでしょう。
もちろんイタリアにはこのようなおかゆは存在しませんが、身近な具材で、普通のおかゆも洋風に変身することができます。大量に白がゆを作ってしまい、後半食べ飽きそうな時などはこんなアレンジも試してみてはいかがでしょうか。お子様などにもお薦めです。
<材料:茶わん3~4杯分>
厚切りベーコン 1枚 / ピザ用チーズ 2分の1カップ / 基本のおかゆ 茶わん3~4杯分 / 牛乳 50ミリリットル / ミニトマト 5個 / オリーブオイル 適量 / パセリのみじん切り 適量 / 塩 適量
(1)ベーコンは1センチ角、ミニトマトは縦4等分に切ります
(2)基本のおかゆを鍋にかけて温め、沸騰する前に牛乳を加えて混ぜて火を消します
(3)熱々のおかゆにベーコン、ピザ用チーズ、ミニトマト、オリーブオイル、パセリのみじん切りをのせます
(4)お好みで塩をふりかけます
ところで、七草をすべて言えますか。七草とは、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ(カブ)、スズシロ(ダイコン)のこと。これらを刻んでコメと一緒に炊いた七草がゆを食べれば、無病息災で過ごせると日本では昔から信じられてきました。
七草には薬効もあると言われています。特にお正月のごちそう疲れを解消して消化を促進したり、腸の調子を整える働きもあるそうです。野菜の少ない冬の時期に、ビタミンを補給するという役割もあったそうです。素朴でやさしい味わい、昔の知恵がたくさん詰まっています。
ぜひ世界各国に旅した気分で、お好みのおかゆを作ってみてくださいね。
(GreenCreate 料理研究家 橋本加名子)
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