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うどん好き大阪に「そばの風」 幕末までは浪速名物

かんさい食物語

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NIKKEI STYLE

訪日外国人(インバウンド)の関心も高い関西の食。いにしえより歴史を積み重ねてきた関西の食文化は奥行きが深く、様々な逸話に彩られています。大阪、神戸、京都など個性的な都市で、あるいは山で、海辺で、地域に根ざして歩む関西の食の話を随時連載します。

ところでいま何刻(なんどき)だい?――。落語の演目で、飲食代をごまかそうとする江戸落語は「時そば」。これが上方落語では「時うどん」になる。それだけ大阪では腹持ちのするうどんが好まれてきた。そんな関西で、うまくて、自由なそばの人気店が続々と誕生している。

一辺8ミリの極太切りのそば

大阪の麺文化に「そばの風」を吹き込む異端の店が登場したのは27年前。大正区に開業した「そば切り凡愚」である。3年前に「あまの凡愚」に店名を変え、大阪の下町から和歌山県の高野山の山麓に舞台を移したが、独特のそばワールドは健在だ。そば好きが全国から訪れる。

店主の真野龍彦さん(73)は独学でこの世界に飛び込んだ。誰もが驚くのがフト(太)と呼ばれている一辺8ミリの極太切りのそばだ。「最初はお客さんもエッという感じ。こんなもん、そばと違うと。でも慣れてくるとフトがなければ帰るという人もいた」

大阪は江戸前のようなしきたりや、こうでなければならないという束縛はない。「どんな異質なものも受け入れてくれるし、面白がってくれた」。もっちりした食感で、かむと滋味が口の中で広がる。従来の枠にとらわれない自由なそば屋の人気は広がった。

真野さんのスタイルに憧れ、多くの若者が弟子入り。大阪府枚方市の「そば切り天笑」、大阪・谷町から同府能勢町に移った「そば切り蔦屋」、大阪・谷町の「そば月山」など凡愚の遺伝子を受け継いだ若いそば職人が新たなそば文化を切り開く。

「値段が高い、腹が膨れない」過去のものに

アバンギャルドな凡愚とは異なり、大阪を代表する正統派といえるのが大阪・西天満の「なにわ翁(おきな)」だ。店主の勘田拓志さん(47)は祖父の代から続くそば店の三代目だが、手打ちそばの第一人者として知られる「翁」の高橋邦弘氏のもとで修業し、99年に、なにわ翁を開業した。

開業当初は手打ちそばしかないとわかると客は席を立って帰っていった。値段が高い、お腹が膨れない。翁ファンからは「これは翁のそばではない」と小言をもらったこともある。しかし経験を重ねて技も熟練してくると、そばの出来も次第に安定していった。

修業した弟子は8人が独立。大阪・東三国の「あたり屋」などを開業した。「そば文化が育ったというのを、そば屋が言うのもおこがましいですが、手打ちそば屋が存続できるほど、そばを食べてくれる層が潜在的にあったかもしれない」と勘田さんは話す。

関西人好みの「かけそば」を供して評判なのが兵庫県西宮市の「あんばい」。店主の坂口典浩さん(66)は凡愚の登場に刺激を受け、うどん店から転じて02年、阪急夙川駅近くに開業した。少し甘めのかけ汁は、そばの風味とのバランスが絶妙だ。だし汁は4種類のかつお節をブレンド。「ほとんどの客が飲み干してくれる」。

そばの名店は京都や奈良でも続々と開店。京都では西陣の「手打ち蕎麦(そば) かね井」、奈良では、古民家が立ち並ぶ「ならまち」の「玄」が意気軒高だ。

実は大阪では昔、そばがはやった時期がある。「藪(やぶ)」「更科」と並ぶ江戸前の三大老舗そばのひとつ「砂場」は現在、営業しているそば店の中で最も古い暖簾(のれん)だが、起源は大阪にある。

大阪・心斎橋からほど近い新町南公園の片隅に「ここに砂場ありき」と大きく刻まれた碑が建っている。解説によると、豊臣秀吉が大阪城築城の際、この辺りは砂利などの資材が置かれて俗称「砂場」と呼ばれ、周辺にそば店が創業、集まった人たちで繁盛した。

やがて「砂場」がそば店の屋号になり、浪速の名物ともてはやされたが、幕末になると、うどんの攻勢に押され衰退。大阪「砂場」の看板は明治期に消えた。

そんな中で関西には長い伝統を培ってきた老舗そば店も存在する。創業550余年の京都の「本家尾張屋」は元は菓子店。そば処としても親しまれるようになり、江戸時代には御用蕎麦司も務めた。京漆器のわりごにそばが盛り分けられた名物「宝来そば」は、外国人観光客に人気が高い。

駅のそば店もユニークなメニューを繰り出す。阪急電鉄の十三駅ホームにある「阪急そば若菜十三店」は1967年に関西の私鉄が設けた駅中のそば店第1号。2015年にはフライドポテトがどっさりのった「ポテトそば」が登場し、瞬く間に関東にも広がった。

年越しそばを食べるのは関西も関東も同じ。なぜ、そばを食べるかには諸説あるが、ひとつには捲土(けんど)重来説がある。そばは一度風雨にさらされても、翌朝に日が射せば、すぐ立ち直る。それにあやかって「来年こそは」と食べるというわけだ。年の暮れ、決意を新たにそばを食べてみてはいかがだろう。

(岡本憲明)

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