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もはや不治の病ではない がんの今知るべき基礎知識

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日経Gooday(グッデイ)

1981年以降、日本人の死因の第1位はがんだ。男性の3人に2人、女性の2人に1人が一生のうちに何らかのがんを発症すると推計されている。そんな中、文部科学省は、2017年度から小・中・高等学校においてがん教育をスタートさせた。中学校や高校の次期学習指導要領にも、保健体育でがん教育を扱うことが明記された。ところが、子供向けのこうした流れとは対照的に、大人向けのがん教育はほとんど行われていないのが実情だ。

厚生労働省とその委託事業であるがん対策推進企業アクションは、2018年11月に「今から始めよう! オトナのがん教育」と題したセミナーを開催。東京大学医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一さんと9人のがんサバイバー(がん経験者)が、がんについて知っておきたい知識や自身の体験談を話した。そのポイントを紹介する。

早期発見で、多くのがんで約9割が治る!?

日本人のがんによる年間死亡者数は2015年には約37万人(厚生労働省「人口動態統計」)で、死亡者の数は年々増え続けている。しかも、「先進国でがん死亡が増えているのは日本だけ」と中川さん。例えば、日本では近年大腸がんが増え、年間5万人強が亡くなっているが、日本より人口が約2.6倍多い米国での大腸がんによる死亡者数は5万人弱だという。

がん死亡が増えている理由には、高齢者が増えていることもあるが、「がんに関する教育が不足しているのも大きな要因と考えられる」と中川さんは指摘。「がんは、わずかな知識の有無によって、その人のその後の人生が大きく左右される病気。それだけに予防法、早期発見の方法、治療法など、がんに関する様々な知識を得ておくことがとても大切」と強調する。

「がん=不治の病」というイメージを持っている人は多いかもしれないが、実は早期に発見されるほど治る可能性が高くなり、中川さんは「多くのがんで、早期に発見すれば約9割が治る」と話す。

実際、がんと診断された患者の5年相対生存率はがん全体で約66%(国立がん研究センター調べ)だが、胃がん、大腸がん、子宮頸(けい)がんなどでは、ステージIという早期に発見された場合の5年生存率は約95%、乳がんでは100%となっている。「『5年相対生存率イコール治癒率』ではないが、多くのがんでは5年後に再発することはまれであり、治療後5年間再発しなければ、がんはおそらく一掃されたと考えてもいい」(中川さん)

早期がんは症状がない、だからこそ検診が大事

では、どうすればがんを早期に発見することができるのだろうか。がんの種類によっても異なるが、「おおまかに言うと、見つけることのできる早期がんは1~2センチの大きさ」(中川さん)だ。だが、1~2センチの大きさのがんでは、自覚症状はまず出ない。つまり、早期でがんを見つけるためには定期的にがん検診を受けるしかない、ということだ。

「がんが検査で見つけられる1~2センチ大になるまでに10年から20年かかります。つまり、がん検診で10年間一度も引っかからなかった人でも、あるときがんが見つかることもあるということです。早期でがんを見つけたければ、たとえ絶好調であっても、がん検診を定期的に受けることが大切です」(中川さん)

しかし、日本人のがん検診受診率は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最低レベルだ。例えば、乳がんや子宮頸がんの受診率は、米国では約8割に上るが、日本では4割程度にとどまっている。欧米では乳がん検診を徹底することで実際に死亡が減ってきているという話もあり、日本もぜひ見習いたいものだ。

国が推奨しているがん検診は5つ

「がん検診が重要なことは分かったが、どんな検診を受ければよいか分からない」という人も多いだろう。国が推奨しているがん検診は、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸(けい)がん、乳がんの5つで、対象年齢と受診間隔は下図の通りだ。これらのがんは、いずれも日本人の罹患(りかん)率、死亡率が高いがんなので、検診を受けることをぜひ習慣化したい。ちなみに、日本人のがんの死亡率を見ると、男性は1位肺がん、2位胃がん、3位大腸がん。女性は1位大腸がん、2位肺がん、3位胃がんとなっている(2015年人口動態統計によるがん死亡データ)。

なお、「1センチのがんが2センチになるのにかかる時間は、乳がんのように遅いもので2年、肺がんのように早いもので1年」(中川さん)だ。そのため、乳がんの検診は2年に一度、肺がんの検診は毎年とされている。がんの種類によって受診間隔に違いがあるのは、こうした理由による。

がん治療の3つの柱は「手術」「放射線療法」「化学療法」

がんが見つかった場合、どんな治療が可能なのかについても知っておきたい。一般的ながん治療には、「手術」「放射線療法」「化学療法」の3つの方法があり[注2]、がんの種類と進行度などを踏まえ、これらを単独、また組み合わせて行うことが推奨されている。

「手術」はがんを外科的に切除する治療法で、「放射線療法」は放射線を当ててがんを消滅させる治療法、「化学療法」は抗がん剤を使用する治療法だ。

血液がん以外の、いわゆる「固形がん」の完治を目指す場合は、手術か放射線療法が選択肢となるが、「日本では同じ治癒率が見込まれる場合でも圧倒的に手術を選ぶ人が多く、欧米に比べて放射線療法が浸透していない」と中川さんは言う。「例えば、子宮頸(けい)がんのII期では欧米では8割が放射線療法だが、日本では8割が手術。同じ子宮頸がんのIIB期の場合、日本以外の先進国のガイドラインには手術がなく放射線しかないが、日本では手術も入っている」(中川さん)という。

「放射線療法は1回の治療にかかる時間が数分で、通院で行うことができ、がんを切らずに治療するので、その意味では体への負担も比較的少ない。欧米ではがん患者さんの60%が放射線療法を受けているが、日本では25%程度にとどまっているのが実情。その一番の理由は、『放射線という選択肢を知らない』人が多いからでしょう」と中川さんは見る。

日本では過去に胃がん患者が多かった。胃は、がんになった場合に全摘(組織あるいは器官全体を摘出する外科手術)が可能なため、胃がんの治療には手術が適している。「そのため『がん治療=手術』という図式が一般に浸透したのだと思われる。放射線療法という選択肢があることも知ってほしい」(中川さん)

がんと診断されてもすぐに会社を辞めない

セミナーでは中川さんの講演に続いて、9人のがんサバイバー(がん経験者)が登壇し、自らの体験談を語った。9人のうち、男性は2人、女性は7人で、がんの種類は胃がん、乳がん、肺腺がんなど様々だ。人間ドック、職場の検診、自らの触診などでがんを見つけて治療し、治療を続けながら、また治療後に仕事に就いている。

その中で、広島市に住む柳田真由美さんが強調したのは、「早期発見、早期治療すること。がんと診断されたとき、すぐに会社を辞めないこと」の2点だ。柳田さんががんと診断された10年前は、がんになったら会社を辞める、というのが暗黙の社会通念としてあったという。

柳田さんは「自分は、20数年間勤めた会社を早期退職してしまったが、今でも非常に後悔している。40歳過ぎての転職は過酷そのもので、新しい職場に慣れる大変さを身をもって感じている」と話す。

中川さんも、「がんでも仕事を辞めない、辞めさせない」を標語にしたいと言い、がん治療と仕事の両立推進が重要と語った。

2013年の男女の年代別がん罹患数を見ると、30代、40代では女性のがん患者数が多く、50代以降では男性のがん患者が急増している。今後は企業に勤務するがん患者、がんサバイバーが増えることは必至だ。がん対策推進企業アクションでは、従業員ががんになっても安心して働ける環境を整えるため、勉強会や出張講座などのサポート事業を行っている。

[注2]4つ目の柱として「免疫チェックポイント阻害薬」も近年注目されている

(ライター 芦部洋子、図版作成 増田真一)

中川恵一さん
 東京大学医学部附属病院放射線科准教授、放射線治療部門長。がん対策推進企業アクションアドバイザリーボード議長。1985年東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部放射線医学教室、スイスPaul Scherrer Institute、社会保険中央総合病院放射線科などを経て現職。2003~14年東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。患者/一般向けの啓蒙活動も行い、福島第一原発後は福島支援も積極的に実施。日本経済新聞で「がん社会を診る」を毎週連載中。

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