自分好みの味になった? ワインのブレンドに挑戦
新年会やホームパーティーなど、ワインを飲むことも多い季節。ワインの消費量が年々伸びる中、楽しみ方も多様になっています。昨年11月には、キッコーマンが自分好みのオリジナルワインを自分でつくれるユニークなサービス「WINE BLEND PALETTE(ワインブレンドパレット)」をスタート。一体どんなものなのか体験してきました。
ワインの個性はどうやって決まる?
ワインの個性は、どのように決まるかご存じでしょうか。ワインはブドウを栽培・収穫し、仕込みの工程と熟成を経てできあがります。単一品種のブドウだけでつくられるワインもありますが、ブドウ品種や産地の違うワインをブレンドすることも珍しくありません。後者のようにブレンドすることを「アッサンブラージュ」といいます。
ちなみにワインの産地として有名なフランスでは、ブルゴーニュ地方は単一品種のワインがメイン。一方、ボルドーのワインはアッサンブラージュでつくられます。
単一品種のブドウでつくられたワインは、ブドウの品種の持ち味をストレートに感じられるのが特徴。一方、アッサンブラージュによるワインは、香りが複雑になったり、味わいに深みが生まれたりします。
アッサンブラージュはワインの個性を決める重要な工程で、ワイナリーでは専門のブレンダーしかできません。これを一般の人でも体験できるようにしたのが、キッコーマンの「WINE BLEND PALETTE」です。
アッサンブラージュ・ワークショップに参加してみた
「WINE BLEND PALETTE」は、ワークショップに参加したり、体験キットを購入して自宅で楽しむことができます。このほか、アッサンブラージュをウェブ上で体験し、創作したオリジナルワインを購入することも可能です。
ワークショップは、キッコーマン東京本社「KCCホール」(東京・港)とマンズワイン勝沼ワイナリー(山梨県甲州市)の2カ所で毎月各1回ずつ開催。今回は東京で実施されたワークショップに参加しました。
キュヴェ(ワイン原酒)の特徴の把握
テーブルに用意されていたのは「キュヴェ(ワイン原酒)」と呼ばれるブレンド用のワイン5種類。この日の講師は、小諸ワイナリー(長野県小諸市)工場長の武井千周さん。手始めに1種類ずつテイスティングし、香りや味の特徴を把握していきます。はじめに注がれたワインの色を確認。次に注がれたままの香りをかぎます。そのあとスワリング(グラスを回す)をしてもう一度香りをチェック。スワリングをするのは、空気と触れさせると香りが感じやすくなるためだそうで、慣れないうちはテーブルの上で回してもよいとのこと。最後は口に含んで味わいます。
武井さんによると、5種のワインの特徴は次のとおり。
イチゴのような華やかな香りがあり、ほのかにミントやハーブの香りも。やわらかくフレッシュな味わいでタンニン(渋み)は少なめ。アッサンブラージュでは、ライトで華やかなワインにしたいときに。
(2)フランス産 カベルネ・ソーヴィニヨン2015
レンガ色で、カシスのような香り。腐葉土のようなニュアンスも。心地よいタンニンがあります。アッサンブラージュでは果実味と複雑さのバランスをとりたいときに。
(3)フランス産 カベルネ・ソーヴィニヨン樽(たる)熟成2015
香りは(2)より複雑でチョコレートのような香りや樽(たる)由来のタンニンも。味わいはまろやか。アッサンブラージュでは丸みがあって優雅なワインにしたいときに。
(4)チリ産 メルロー2017
イチゴジャムのほか、ブラックチェリーやカシスなど黒い果実の香り。やわらかな食感で、タンニンは控えめ。アッサンブラージュでは、果実味を強調したいときに。
(5)チリ産 プティ・ヴェルド2017
色がとても濃く、インクのような香り。苦みや渋みが強く、ナッツのような戻り香も。アッサンブラージュでは隠し味として使うと味に骨格が生まれ、メリハリのある味わいに。
アッサンブラージュによる変化を体験
続いてブレンドによる味の変化を体験しました。まずは武井さんがブレンドのお手本を見せ、その後、参加者も自分でブレンドに挑戦。スポイトを使ったブレンドは、まるで理科の実験のようでワクワクします。
まずは「(2)フランス産カベルネ・ソーヴィニヨン」と「(3)フランス産カベルネ・ソーヴィニヨン樽熟成」を50%ずつブレンド。同じブドウ品種ということもあり、大きな変化は感じません。
次に「(4)チリ産メルロー」を加え、(2)(3)(4)が33%ずつになるようにすると、フルーティーさが一気に増し、香りや味に奥行きが感じられるように。さらにそれに「(5) チリ産プティ・ヴェルド」を17%の割合で加えると、苦みがアップ。逆に「(1)日本産マスカット・ベーリーA」を17%加えると、まったく印象の違うフレッシュな果実感が現れました。ブレンドの仕方でここまで味わいが変化するとは、ちょっと想像以上です。
自分好みのブレンドに挑戦
いよいよ好みのワインを作ります。武井さんによれば、飲むシーンや気分、料理との相性などから大枠のテーマを決め、完成ワインをイメージしてからベースになるワインを選ぶとよいそうです。
たとえば気軽に飲める軽やかなワインなら、果実味が豊かな「日本産マスカット・ベーリーA」と「チリ産メルロー」を50%ずつブレンドすれば、フルーティーな味わいに。また、ガッツリステーキのような肉料理にはしっかりした渋みのある味わいが好相性なので、樽からのタンニンもあるリッチな「フランス産カベルネ・ソーヴィニヨン樽熟成」40%と果実味がはっきりした「チリ産メルロー」40%をベースに、重厚な味わいの「チリ産プティ・ヴェルド」20%を加えてパワフル感を出す……といった具合です。
おすすめのブレンドや独自のブレンドなどいろいろ試していく中で、女性が好みそうな味だと感じたのが、「日本産マスカット・ベーリーA」95%に、「チリ産プティ・ヴェルド」5%をブレンドしたもの。軽くて飲みやすい中にもプティ・ヴェルド由来の落ち着きがあり、パーティーや毎日の食卓で気軽に飲むのによさそうでした。
ワークショップではこのあと5~6人のグループ内でお互いにつくったワインをテイスティングして楽しみます。ワークショップは約2時間で7000円(税別)。これには自分の好みでブレンド比率を決めたワインの商品代金と送料も含まれます。
ちなみに今回、吐き出さずにすべて飲み干していたので後半はほろ酔い気分でしたが、プロに習って酔わないように吐き出してもOK。申し込みは「WINE BLEND PALETTE」のウェブサイトから。定員は各回30人です。
ホームパーティでも盛り上がる体験キットも
ワークショップ以外には、体験キット「WINE BLEND PALETTEアッサンブラージュ・ボックス」を自宅で楽しむこともできます。ホームパーティーなどで、友人と試すのも盛り上がりそう。体験キットは「WINE BLEND PALETTE」のウェブサイトから購入可能。サイト上ではアッサンブラージュの疑似体験もできるほか、ほかの人がつくったブレンドを見たり、購入したりできるページもあります。
新感覚のワイン体験「WINE BLEND PALETTE」。ワイン初心者からワイン上級者まで楽しめます。ワインの知識がたくさん得られるので、ワイン好きの方はぜひチェックを。
(取材・文 GreenCreate)
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